取引計画とリスク管理
取引計画とは?
適切な取引計画を立てることは取引の最も重要な側面の一つです。何を、いつ、なぜ、どの程度のロット数売買するのかなどの本質的な質問の答えを見出すことができ、重大な決定を下すことができるのも取引計画が存在するからです。取引計画は、性格、リスクに対する姿勢、取引目標、リスク管理ルールおよび取引戦略を反映するものでなければなりません。
取引計画は自身に見合ったものであることが重要です。他の人の計画をそのまま取り入れるのは良くありません。人によってその目標、姿勢、考え方が異なるからです。取引に費やすことのできる時間も資金も異なります。
取引計画、取引戦略、取引日記の違いは?
- 取引計画:目標、動機、リスクに対する姿勢から、リスク管理規則、過去の取引の分析まで取引に係るすべての事項を織り込む包括的な青写真です。そこには、取引戦略や取引日記も含まれます。
- 取引戦略:取引をどのように開始し、撤退するかを決めるものです。例えば、「金は$1250を下回った時点で買い、$1350に達した時点で売る」は、非常に単純な取引戦略の例です。
- 取引日記:開始と撤退ポイント、損益、取引統計、各取引の前後の投資家としての心理状態をはじめ、取引を実行する際に発生するすべての事柄に関する文書による記録です。
取引計画はなぜ重要なのか?
取引が容易になる
取引計画は、いつ、どのように取引を実行すべきかの指針になります。取引計画がないと、どの銘柄の取引を行うべきか、早く利益を確定するべきか、損失はそのままにしておくのか、また別の銘柄の好機を見逃していないか、常に不安に感じることになります。取引計画を作るということは、事前にすべての事項を考えることになりますから、適正な市況が訪れるのを待ち、自身で設定した基準に従って取引を行えばよいことになります。
冷静に取引を行うことができる
取引計画が存在すれば、その場の勢いによる感情的な判断を排除することができます。すべての取引に関し注文を出す前にすでに希望する利益や損失の限度を分かっているからです。つまり、取引の途中で不測の事態が発生したとしても対処できるということです。相場は当然上下動します。事前にすべての事態に備えた準備を進めておくことができます。
規律の維持も可能に
規律はトレーダーに求められる非常に重要な素養です。誰しも2度や3度のラッキーな経験をすることはあります。しかし規律のあるトレーダーは、長期的により大きな利益を得ることが多いと考えられています。確実な取引計画を定めていれば、規律の維持も容易になります。
演習
あなたは「S&P500株価指数が1日で0.5%以上上昇したら、引き続き上昇すると予想して、その都度買うこと」を取引戦略に含めていたとします。
しかし、数回取引を実行したところ、取引戦略がうまく働いていないのか、損失が出てしまいました。その際、どちらを選びますか?
- 即座に手仕舞いをする
- 戦略を遵守する
状況によっては、戦略に従うという選択肢もあります。そうすることで、戦略に致命的な欠点があるのか、もしくは最初の数回は単にアンラッキーだったのか、判断することができます。
仮に取引戦略自体に問題があるようであれば、取引の結果を基に戦略を微調整する方法はあるでしょうか?規律を維持し計画を遵守することで、負けの戦略を勝ちの戦略に転じることができます。少なくとも、なぜ戦略はうまくいかなかったのかを確認することができます。
改善することができる
取引計画に従って取引日記を付けることで、何がうまくいって、何がうまくいかなかったかを記録に残すことができます。トレーダーとしてパフォーマンスを分析し、改善するのに有用です。取引のすべてを記録することで、失敗から容易に学ぶことができ、うまくいった取引のうちいずれが幸運によるものなのか、自身の判断によるものかを評価できるようになります。
まとめ
- 取引計画は決定を行うためのツールで、何を、いつ、なぜ、どの程度の数量を取引すべきなのか等の質問の答えを、見出すことができます。
- 取引計画は、一定の状況で取引をどのように行うべきか、その青写真を提供します。それにより、
- 取引が容易になります
- 冷静に取引を行うことができるようになります
- 規律を維持することができます
- 取引を改善することができます