注文の仕組みと種類
注文の執行
売買注文を出すと、ブローカーもしくはトレーディングプロバイダーは希望に沿って注文の約定を目指します。しかし、市況は常に一定とは限らず、希望どおりの注文の執行がかなわない場合があります。
そうした状況がどのように、そしてなぜ生じるのか、それを理解するには、注文が発注された後どのように処理されるかを知る必要があります。
注文はどのように執行されるのか
成行注文を出したり、ストップ注文やリミット注文が発動されたりすると、ブローカーは、それに見合う注文をすぐに確認します。
ABC社の株式100株を1株当たり250pで購入したいと考えます。その場合、少なくともその値段で100株売りたいと考えている売り手を探す必要があります。その価格で十分な数量の売り物が見つからない場合には、ブローカーが手持ちの株式を使わない限り注文が希望どおりに約定されることはありません。
流動性に欠ける銘柄の場合このような状況は少なくありませんが、こうした状況に対処するために、注文をいくつかの方法で区分することもできます。例えば、FOK(fill or kill)注文を選択していれば、ブローカーは全部を即座に約定するか、それとも取り消さなければなりません。またEAE(execute and eliminate)注文では、指定された価格で出来る限り多くの数量の注文が約定され、残りについては取り消されます。
成行注文の執行
すでに説明していますように、成行注文とは、現時点の最適な価格で取引され、流動性が高い銘柄であればその執行が保証される注文をいいます。成行注文では、ブローカーは希望に最も近い取引を実行します。希望される価格で一部が約定され、残りは、次に好ましい価格で執行されることもあります。
主だった銘柄に関しては、通常、売買を行う十分な数のトレーダーが存在します。しかし、流動性に欠けたり、もしくは大量に売買したりする場合、希望する価格での売買が難しくなることがあります。
注文の期間
現在の価格から$100上昇した時点で金を購入する注文を今日出すとします。数年経っても価格がその水準に至らない場合、自動的に注文が約定されるということは望まないでしょう。取引の決定に影響を及ぼす多くの要因が、それまでに変化している可能性があります。待ち疲れたということもあるでしょうし、他の投資に資金を回してしまっているかもしれません。
こうした理由から、通常、注文の期間が設定され、それを経過すると注文は取り消されます。主な種類の注文について解説します。
- GTC(Good till cancelled)注文
注文は取り消されるか、約定されるまで有効となります。取引所によっては特定の期間しか注文が有効にならない場合があります。ブローカーに確認する必要があります。 - GFD(Good for the day)注文
発注した営業日に限り注文は有効となります。銘柄の立合終了時間をブローカーに確認する必要があります。 - GTD(Good till date/time)注文
約定されない場合に注文が取り消される日時を選択しなければなりません。 - FOK(Fill or kill)注文
注文は、即座に全部約定されなければ、取消になります。 - EAE(Execute and eliminate)注文
注文のできる限り多くの部分が希望の価格で約定されます。約定されなかった注文は取消となります。
まとめ
- 注文が約定されるには、銘柄の十分な買い手もしくは売り手が存在する必要があります。
- 状況によっては、希望どおりに注文が執行されない場合があります。
- 成行注文は最適な価格で執行されない場合には、その次に適した価格での執行となります。
- 通常、注文の有効期間を設定します。それを過ぎると注文は取消になります。