注文の仕組みと種類
ストップ(逆指値)注文
リミット注文と対照的に、ストップ注文は、銘柄が現在の価格より不利な水準に達した場合に取引を実行する指図を言います。
なぜ不利な価格で取引したいと考えるのでしょうか?おそらく最も重要な理由としては、さらに不利な状況にならないようにポジションを清算するということが挙げられます。そのためには、取引にストップ注文を付けます。損失を受け入れることのできない水準になった時点で、ストップ注文によりポジションが手仕舞いされ、清算されます。
次のレッスンで説明しますが、値動きは非常に早く、設定した水準を過ぎてしまい、そこでポジションを清算できなくなる可能性がありますが、ストップ注文を出していれば、損失の拡大を防ぐことができます。
これにより損失が抑えられることになり、この種のストップ注文は「ストップロス注文」とも呼ばれます。その仕組みを見てみましょう。
例
ABC社の株式100株を$37で購入しましたが、現在、株価は$35に下落しています。これは一時的なものであると考えていますが、仮に$32まで下落するようであれば損切りをすべきであると考えています。$32でストップロス注文を出します。
残念ながら価格が下がり続け、$27まで値下がりしました。しかし$32でストップロス注文が発動され、その時点でポジションは清算されました。
$500(100株x$5)の損失が出ましたが、ストップロス注文を出していなければ、損失は$1,000以上に膨らんでいたでしょう。
新規の発注の際にもストップ注文を利用することができます。「ストップエントリー注文」と呼ばれます。
現在の価格より好ましくない価格で新規の発注を行うことは非常に奇異に感じられるかもしれませんが、時として理に適う場合があります。
例えば、銘柄が一定の水準に達すると同じ方向に動き続けるという分析結果があったとします。その場合、その水準でストップ注文を設定することで、ポジションを取り、その騰勢を利することができるようになります。
トレーリングストップ注文
トレーリングストップ注文は特殊な形態のストップロス注文です。損失を抑えながら利益を確保できます。
他のストップロス注文と同様、トレーリングストップ注文もポジションに付けられます。相場が設定した幅だけ有利な方向に動いた場合(「ステップ」と呼ばれます)、トレーリングストップはこの値動きを複製します。したがって、現在の価格と一定幅を保つことになりますが、ステップごとに取引を開始した時点の価格に近付き、有利な値動きが続くようであれば当該価格を上回る可能性もあります。
逆に意に反する値動きとなる場合、トレーリングストップ注文は、そのままの状態になります。つまり、標準的な静的なストップロス注文より有利なレベルでポジションを清算し、なお利益が出ている状態になります。
例
1米ドル=117.60円で米ドル/日本円を売るとします。30ピップス乖離する117.90でトレーリングストップ注文を出します。ステップサイズは10ピップスとします。
銘柄は当初、5ピップス下落しますが、ステップサイズには至りませんので、ストップ注文は117.90のままです。さらに5ピップス下落し117.50円になったので、ストップ注文は117.80円に下方修正されます。
その後、米ドル/日本円は117.10まで下落します。ストップ注文はその動きを追い、117.40になります。しかし銘柄は値上がりに転じ、価格は117.50まで上昇します。ストップ注文は117.40のままですので、ポジションはこの水準を過ぎたところで清算されます。
ストップ注文で20ピップスの利益が確保されました。しかし、銘柄の値上がり基調は一時的なものに留まる可能性があり、ポジションを清算してしまうことで、より大きな利益を得る好機を逃すことになる場合があるということにも留意してください。
他のストップロス注文同様、トレーリングストップロス注文でも、設定された水準で必ず清算されるということが保証される訳ではないので、ご注意ください。
まとめ
- ストップ注文とは、銘柄が現在の価格より不利な水準に達した場合に取引を実行する指図を言います。
- 既存のポジションにストップロス注文を付けることで、値動きが不利に推移しても損失を抑えることができます。
- 新規発注時で利用するストップ注文を「ストップエントリー注文」と言います。
- トレーリングストップ注文は特殊な形態のストップロス注文です。有利な値動きの場合にはそれに連動して動くことで利益の確保に一役買います。