注文の仕組みと種類
マージンコール
前述の通り、レバレッジ取引を始めるには、取引の総額の一部を預け入れるだけで良いのですが、損失がこの金額を上回ることがあります。
ポジションが不利な方向に変動すれば、プロバイダーは取引を維持するための追加の資金の提供を求めます。
例
レバレッジを利用して8,000株を220円 で購入したとします。したがってポジションの価値は176万円になります。プロバイダーは5%、すなわち88,000円の維持証拠金の支払いを求めます。
株価は1円下落し219円になり、ポジションの価値は、175万2千円に減少します。その結果、証拠金の額も減少し87,600円(5% x 175万2千円)になります。
しかし、維持証拠金は減少しますが、ポジションには8,000円(1円x 8000)の損失が生じています。ポジションを維持するために当該金額を維持証拠金に加算しなければならず、合計金額は95,600円となります。これを補填できる十分の資金が取引口座にある場合は別ですが、プロバイダーは証拠金の支払いを求めるでしょう。即座に支払いを行わない場合、プロバイダーは取引数量を縮小したり、場合によってはポジションを完全に清算したりすることもあります。
ショートポジションに生じる配当金支払いや資金調達コストでも、口座の資金が足りなくなり、追加の資金の預け入れを求められる要因になります。つまり、ポジションを取るには、最初に支払う金額ですべてを賄える訳ではないのです。資金を追加しながら口座を維持していかなければならないかもしれません。
レバレッジを利用すべきかどうかの判断
取引にレバレッジを効かせれば、より大きな利益を上げることができますが、同じようにより大きな損失が発生するということがわかりました。それは、従来の取引よりリスクが大きくなるということでしょうか?
ある意味その通りです。損失が発生しても補填する余裕がないにもかかわらず、維持証拠金を支払うことができるというだけでレバレッジ取引を実行すると、大けがをする可能性があります。
しかし、ポジションの総額や不利な展開に陥る可能性を、すべてのポジションにおいて考えているのであれば、そのリスクは、直接的な取引とほぼ同じになります。最終的な利益と損失はいずれの場合も同じです。異なるのはそのために支払う金額です。
取引リスクを管理するのに踏むべき数多くのステップがあります。この点については「計画及びリスク管理」のコースで説明します。
仕組みを理解していれば、レバレッジ取引は非常に有用なツールとなります。一つの取引に多額の取引代金を準備する必要はなく、代金の一部を支払うことで大きな資産を取引することができます。賢く利用すれば、レバレッジにより売買を容易かつ便利に実行することができます。
レバレッジ取引の方法
幅広いレバレッジ取引向け商品が開発されており、ほとんどすべての商品が網羅されています。多くのプロバイダーが、取引において少なくとも何らかの形のレバレッジを提供しています。
その中心になるのがデリバティブ商品です。価値が原資産に由来する金融商品です。デリバティブ取引では、原資産を直接所有することはありませんが、そのパフォーマンスに対する財務持分を有することになります。
レバレッジを利用できる取引の主なものは以下のとおりです。
- スプレッドベッティング取引(英国のみ)
金融スプレッドベッティングは、銘柄の直接的な取引ではなく、銘柄がいずれの方向に展開するかを、金融スプレッドベッティング・プロバイダーを通じて賭けることになる取引です。 - 差金決済取引 (CFD)
CFD取引とは、特定の資産の取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる取引です。 - FX取引
FX取引とは、FXブローカーを通じて、一方の通貨ともう一方の通貨の将来の価値を比較して得られる為替差益を得る取引です。 - 先物取引
先物取引とは、資産を将来の特定の時間に特定の価格で売買する取引です。 - バイナリー取引
バイナリー取引とは、指定期間にわたり特定の金融商品が一定の水準に達するか否か(イエス/ノー)により、利益が得られる取引です。結果は2つしかありません。 - オプション取引
オプション取引とは、一定の日にち以前に固定価格で原資産を売買する権利の取引です。
まとめ
- レバレッジの効いたポジションが不利な展開になれば、プロバイダーは口座に十分な資金が補われるように追加の証拠金の差し出し(マージンコール)を求めることになります。
- レバレッジ取引は従来の取引よりリスクが高いように思われますが、利益と損失は従来型の取引と同じで、当初の支払い額が異なるだけです。
- レバレッジ取引は、主にデリバティブ商品を利用して実行されます。