ファンダメンタル分析
個々の企業を分析する
企業の事業活動を取り巻く環境を分析した後は、企業の事業自体を検討していきます。個々の会社に対してファンダメンタル分析を実施する場合、多くの定性的要因を考慮することが望ましいとされています。それでは、定性的要因の詳細について確認していきましょう。
ビジネスモデル
最初に、次の質問を考えてみて下さい。
企業はどうやって利益を生み出しているのか?
この一見簡単そうな質問が、一部のケースでは驚くほど回答しにくい場合があります。会社が顧客へ提案する価値は、大半の会社が、例えば、食料や衣類の販売のように非常に単純である一方で、理解するのに時間がかかるような複雑又は型破りなビジネスモデルを構築している会社もあるのです。
例えば、非常に限定的な目的を達成するためのハードウェアやソフトウェアを供給するというニッチ業務を行うテクノロジー会社は多くあります。こうした会社の業務は、対象となる製品を販売したり使用したりすることに関与している人以外には、一般的には知られていないことが少なくありません。
会社のビジネスモデルを説明できますか?
会社が作っている製品、当該製品販売のために用いている手法、当該製品を購入してくれる市場について完全に理解していない時は、その会社の株式を取引しない、という経験則に基づいて行動する著名な投資家が多くいます。
できる限り簡潔な言葉で友人などに会社のビジネスモデルを説明してみてください。説明が難しい場合、まだ完全には理解していないということなのかもしれません。
比較優位性
通常会社には、競争相手が存在します。たとえ会社が完全に新規かつ独自のものを提供している場合であっても、模倣会社が直ぐに新規参入してきます。
なぜある会社はライバル会社より優位な位置にいられるのか?
次のことを検討するといいでしょう。
- 当該会社は競争相手が提供していない(提供できない)ものを提供しているのか?
- それとも、競争相手と同じものを提供しているが、より効率的又は効果的な方法で提供しているのか?
会社が、誰もが知っているようなブランドに成長したり、市場を独占するような製品を提供したりするなどして、自社の比較優位性をしっかりと確立させた場合、その地位は不動だと思われるでしょう。こうした状況下では、会社は繁栄し、収益性を持続できることが多いため、投資家はそれに伴う便益を獲得することができます。しかし、現状に満足していてはだめです。どんな良い出来事も、いつかは終わりを迎えるものです。
重要ポイント
FTSE100指数は、2014年1月に30周年を迎えましたが、当初の構成銘柄は現在たった30銘柄しか残っていません。残りの70銘柄は、1984年当時は業界をリードする会社だったにもかかわらず、現在までに倒産や吸収合併が行われたり、もしくは単に日の目を見なくなったりしたことで、上位100銘柄の新しい競争相手に取って替わられています。
企業は比較優位性を維持できているか?
成功した会社は、通常、競争相手より優位な位置を確保し続けるために進化する必要があります。もし会社が成功に安んじていたり、新しいアイデアが枯渇していたりするなら、それは危機が差し迫っているサインかもしれません。
HMVの例を考えます。大手チェーン店であったHMVは市場の変化に適応しようと葛藤していましたが、消費者がディスクを購入する代わりに、音楽ダウンロードやストリーミングを利用するにつれて、その中核ビジネスが侵食されてしまいます。明らかにバックアッププランが無かったため、同社は衰退の一途を辿りました。
まとめ
- 個々の会社を評価する際、会社のビジネスモデルを理解することが重要です。
- 業界内の競争状況を考慮し、注目している会社とその会社の地位を脅かしそうな他の会社とを比較します。
- 環境が変化する中で会社がうまく進化する能力があるかどうかを確認します。