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ファンダメンタル分析

レッスン 4 / 8

企業の経営陣を評価する

理論上、会社とはそれを構成する個人とは独立して存在する法人のことです。しかしながら、会社を経営する人々、それらの人々が保有する技術や個性は、会社が成功するか失敗するかの過程で大きな役割を果たします。

ファンダメンタルアナリストの多くは、経営陣が会社の将来見通しに影響を及ぼす最も重要な要因であると考えています。

したがって、次のステップでは、誰が現在会社を率いているのかを明らかにし、その経営陣が信頼できるのかどうかを評価していくことになります。

経営陣を綿密に調査する

幸いなことに、インターネットを利用すれば、会社の舵を取っている人々についての情報はたくさん見つけ出すことができます。そこから、このような質問の回答が得られます。

  • 経営陣の学歴
  • 経営陣の前職
  • どのような職務経験を現在の役職に役立てているか
  • これまでの優れた業績(又は顕著な失敗)

ここから、経営陣の主な強み弱み、そして一般的能力を把握していくと良いでしょう。

経営陣に質問する

経営上層部に直接質問することによって、会社をさらに知ることができます。四半期又は年次決算発表に続いて開催されることが多いカンファレンスコール(電話会議)を利用して、直接質問することが最適な方法の1つと考えられます。

投資家及びアナリストは電話会議に参加して、最高経営責任者や最高財務責任者が直近の数字や会社の業績に関する説明を聞くことができます。この後、質疑応答の時間があり、電話会議の参加者は懸念事項を提起したり、会社の状況について情報を求めたりすることができます。

通常は、会社の直近決算報告書と共に、こうしたカンファレンスコールの議事録又は録音のアーカイブが、会社のウェブサイトの投資家向け広報(IRページに掲載されます。

経営陣の自信の度合いを測る

会社の実情を知っているとするならば、それはその会社の経営陣でしょう。したがって、経営陣が事業に対して示す自信の程度は非常に意義深い情報を提供してくれます。当然のことながら、経営陣の公式な声明は前向きな言葉で構成される傾向にありますが、こうした発言内容が実際の行動に反映されているでしょうか?具体的には、経営陣は自社に対する自己の出資増加させているでしょうか、それとも減少させているでしょうか?

経営上層部は、(少なくとも一部の)ストック・オプション(業績連動型制度)で報酬を受け取ることが一般的です。ストック・オプションを報酬として受け取る経営陣の個人財産は会社の成長及び成功に依存することになるため、経営陣には会社に利益をもたらす決定を行うインセンティブが生じることになります。しかし、経営陣が自ら保有する自社の株式又はオプションを売却しているような場合、経営陣は会社経営に自信が無いか、会社の将来見通しを否定的に捉えている可能性があります。

経営陣の移り変わりに注目する

優れた個人の集団によって運営されている事業は、そうした人々がチームとして適切に協働できない場合、又はそうした人々が能力を伸ばせるような適切な環境が組織によって与えられない場合、事業が力強く成長していても頓挫してしまうことがあります。

例えば、経営陣が立て続けに会社を去る場合、当該会社の文化又は経営陣の人間関係に問題があるといった会社の弱みを示唆しているのかもしれません。同様に、上級職が短期間で複数回にわたり交替するケースに遭遇する場合もあります。

経営陣に関する問題が存在すると思われる場合、ビジネスモデルがどれだけ優れていたとしても、当該会社に投資しない方が賢明です。

コーポレートガバナンスを確認する

どのような会社でも、経営陣、取締役、そして株主との関係を定めるコーポレートガバナンス方針を定めています。コーポレートガバナンスは、適切な手続きに従うことを確保し、不正が行われるのを防ぐためのセーフガードとして存在しています。したがって、コーポレートガバナンスをしっかりと確認することが大切です。

コーポレートガバナンスには次のような情報が含まれる可能性があります。

取締役会

適切な取締役会には、会社の従業員である取締役に加えて、独立した立場にある完全に社外の取締役が含まれます。社外取締役は、例えば、経営陣の他のメンバーでもそれほどためらわずに批判することができるため、この仕組みは、通常、株主の利益を保護できると考えられています。

株主の権利

会社の利害関係者、特に株主は、取締役会と対話ができる権利や、提起した質問や苦情を適切に対処してもらう権利を確保されていなければなりません。

買収防衛策

会社は通常、会社の経営陣、取締役又は所有状況に急激(かつおそらく不要)な変更が生じるのを回避するための方策を講じています。こうした防衛策があることで、投資家は会社経営の安定性に一定の信頼を抱くことができます。

まとめ

  • 経営陣の質は、会社の将来見通しに影響を及ぼす主要因であることに留意してください。
  • 各経営陣の強み、弱み及び経験を考慮してください。
  • カンファレンスコールなどの制度を利用して経営陣に質問する機会を得ましょう。
  • 各経営陣は自社に対する自己の出資を増加させているか、それとも減少させているか、また経営陣の構成に突然の変更が生じていないかを確認してください。
  • コーポレートガバナンス方針を確認してください。
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