海外旅行のために、例えばポンドをユーロに交換した場合、それは外国為替市場に参加したということになります。簡単に言えば、

Forex（フォレックス）とは、企業や個人がある通貨を別の通貨に交換する取引、つまり外国為替取引のことをいいます。

Forexは、外国為替やFX、外国為替市場としても知られており、そこでの1日の平均売買高は5兆ドルを超えます。これは、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所（NYSE）の約100倍になります。

個人や企業により取引されるだけでなく、Forexは、金融機関、中央銀行、そして政府にとっても重要です。Forexにより、企業はある通貨で資金を得る一方で、別の通貨で財やサービスの支払いを行うことができ、国際貿易や投資が円滑に行われます。

外国為替取引の参加者は？

外国為替取引には、短期の利益を追求する個人の投機筋から、流通する通貨量をコントロールしようとする中央銀行に至るまで、おびただしい数の市場参加者が存在します。

しかし、その中でも最も存在感が大きいのが大手国際銀行です。特に、シティ・グループ、ドイツ銀行、バークレイズ、JPモルガン及びUBSが世界の外国為替取引の約50％を占めます。

なぜ人は外国為替取引を行うのか？

個人や企業は主に2つの理由で外国為替取引を実行します。

投機

大半の外国為替取引は、単に利益を稼ぐためだけに行われます。つまり、外国為替取引を行う個人や機関は、通貨の現物を受け取る意思はなく、値動きのみで利益を上げようとします。

大手金融機関は常に外国為替の僅かな値動きから利益を上げようとしており、1日を通して、売買高が大きな取引が何度も繰り返されます。為替レートは、世界の金融市場の中で一貫して最も大きなボラティリティを生じさせる金融商品の1つとなっています。

他の通貨で商品又はサービスを購入

国や地域が異なる2つの企業が取引を行うとき、受け取った商品やサービスの代金を支払うのに外国為替取引が必要になります。このような取引は、全世界で昼夜、時間を問わず実行されます。

投機筋が実行する取引と比べると、取引件数の割にはその金額は非常に小さいものになります。貿易などの商業取引では、短期市場レートに大きな影響が出ることはありません。

外国為替取引の方法

株式取引と異なり、外国為替取引は相対（OTC）取引になります。つまり、外国為替取引は、取引所を介してではなく、2者間で直接取引されます。

外国為替市場は、銀行のグローバル決済ネットワークを通じて電子的に運営されています。つまり、取引の物理的な場所は存在せず、世界の4大外国為替市場（ロンドン、ニューヨーク、シドニー、東京）のいずれかが開いていれば、委託したフォレックス・ブローカーを通じて世界中の至るところで取引を実行することができます。

外国為替の取引時間: 4月～10月 （英国夏時間）

実際には、週6日間、日曜日の21時又は22時（英国時間）から金曜日の21時又は22時（英国時間）まで、大半の通貨ペアを取引することができます。ただし、正確な時間は、英国や米国、オーストラリアなどがサマータイムを採用している関係で、異なることがあります。

外国為替取引の仕組み

外国為替の呼値は、AUD/EUR（豪ドル/ユーロ）のように常にペアで表示されます。これは、例えば豪ドルを購入したい場合は、ユーロなどの別の通貨によって購入する必要があることを意味します。

外国為替取引では、ある通貨を買うと同時に別の通貨を売ることになります。

ペアになる通貨は、それぞれ3文字の通貨コードで表示されます。一般的に、最初の2文字が国/地域を表し、最後の文字が通貨を表します。USD/JPYを例に取ると、

USDは米国ドルを表し、JPY は日本円を表します。

通貨ペアの左側に記載される通貨は、基準通貨又は取引通貨と呼ばれます。通貨ペアの右側に記載される通貨は、決済通貨と呼ばれます。外国為替取引価格は、基準通貨1単位を決済通貨で示したものとなります。

よってEUR/USD = 1.20164は、1ユーロ＝1.20164ドルであることを表します。

例えば、基準通貨であるユーロが決済通貨米ドルに対して強くなると考え、EUR/USD の通貨ペアを購入するとします。この場合、ユーロを買って、米ドルを売ります。ユーロ/米ドルのロングポジションを取ると言います。逆にユーロが弱くなると考えれば、ユーロを売り、米ドルを買います。この場合、ユーロ/米ドルのショートポジションを取ると言います。ロングは「買い」、ショートは「売り」を意味します。

次のレッスンでは、外国為替取引に関する専門用語を説明します。