テクニカル分析
ブレイクアウトとダマシ
前のレッスンでは、ガラスの床と天井のような価格水準があることを知りました。しかし、ガラスは壊れるものであり、サポートラインもレジスタンスラインも永遠に機能するわけではありません。このレッスンでは、価格がこれらの壁を突破した場合に、どのような展開が考えられるかを見ていきます。
ブレイクアウト
市場がある水準を何度か試した後に、その水準を突き抜けてしまうことがあります。これをブレイクアウトと呼びます。ブレイクアウトが起こると、価格は勢いを増して大きく動く傾向があります。特に、ブレイクアウト前に、その水準を試しに行った回数が多い場合は、さらに動きは大きくなります。なぜ、このような事が起こるのでしょうか?
ここでも、心理的な要因が働いています。下の図を見てください。メディア企業であるDEF社の株価が、800ポイント近辺のレジスタンス水準を試しに行った様子を示しています。
価格が800ポイントの水準に達した後、押し戻される様子を見ると、回数を重ねるごとに変動幅が大きくなっています。強気な投資家は、水準が突破され、もう戻りそうになければ、DEF社株の買いを考えるでしょう。一方、弱気な投資家(DEF社株のショートポジションを保有)は、価格が上昇を続けると、損失に耐えられなくなる恐れがあるため、保有ポジションを解消しよう(DEF社株を買い戻す)と考えるでしょう。
こうした投資家の心理から、売り手よりも買い手の方が圧倒的に優勢になり、価格の上昇に拍車をかけることになります。特に、レジスタンス水準のすぐ上に大量の注文がある場合には、一気に上抜けることになります。
レジスタンス水準をブレイクアウトすると、多くの場合、そのレジスタンス水準は新たなサポート水準となります。同様に、サポート水準をブレイクアウトすると、そのサポート水準は新しいレジスタンス水準となります。
ダマシ
しかし、前のレッスンで触れたように、サポート水準およびレジスタンス水準は厳密な単一の数値ではなくゾーンです。そのため、上記の例において、あなたが800ポイントでサポートがブレイクされていると考えたとしても、他のトレーダーは、ブレイクではないと判断し、ショートポジションを取る好機と見るかもしれません。
また、「市場の一段の上昇は見込めないと感じて、利益を最大化するために、できるだけ高い水準でショートポジションを取ろう」という心理が、多くのトレーダーに働くこともあります。この場合、一時的にレジスタンス水準をブレイクしても、相場はすぐに押し戻されることになります。これは、見せかけのブレイクアウトであり、ダマシと呼ばれます。
練習問題
正解
不正解
ブレイクアウトでは、相場は勢いを伴ってサポート水準またはレジスタンス水準を突き抜けていきます。ダマシでは、サポート水準またはレジスタンス水準を抜けた後、すぐに反転してしまいます。まとめ
- 勢いを伴ってサポート水準またはレジスタンス水準を突き抜ける場合は、ブレイクアウトです。
- サポート水準またはレジスタンス水準を抜けた後、すぐに反転してしまう場合は、ダマシです。