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テクニカル分析

レッスン 9 / 11

移動平均線

ここまでは価格の動きそのものを対象として、チャートに現れるパターンを見てきました。しかし、市場価格そのものではなく、市場価格をもとに数学的に算出した取引シグナルを分析するテクニカル分析が数多くあります。そうした取引シグナルは、テクニカル指標と呼ばれ、テクニカルトレーダーにとって強力な味方となっています。

すでに、数多くの指標が開発されていますが、トレーダーたちは、市場で一歩でも先んじようと新指標の開発にしのぎを削っています。これらすべての指標を詳細に解説することは、本コースの範囲を超えているので省略しますが、最も有名で最もよく使われる指標である移動平均線について解説します。

主な移動平均線として、2種類があります。

  • 単純移動平均線
  • 指数平滑移動平均線

単純移動平均線(MA:Moving Average)
または (SMA:Simple Moving Average)

その名が示す通り、ある一定期間の平均価格を結んだ線を意味します。下図では、英ポンド/米ドルの日足チャートに10日単純移動平均線(紫色の線)を重ねたものです。

各データポイントにおいて、直近10日間の平均値(終値の合計÷10)を算出し、それらを結んだものが紫色の線となります。通常、自分自身でこの移動平均線の計算をする必要はなく、テクニカル指標を利用すればすぐに紫色の線が表示されます。

実際の価格の動きと10日移動平均線を比べると、10日移動平均線は10日間の平均であるため、実際の価格に遅れた滑らかな線となっています。

では、20日単純移動平均線(薄紫色の線)も見ていきましょう。

平均する日数が10日から20日に増えたため、20日移動平均線では、より線が滑らかになり、実際の価格の動きを遅れて反映したものとなります。20日移動平均線は10日移動平均線と比較し、より長期なトレンドを見るための指標と言えるでしょう。

では、50日単純移動平均線(赤紫色の線)の場合はどうでしょうか。

滑らかさと価格からの遅れ具合はさらに顕著になります。3つの移動平均線の中では、50日移動平均線が最も遅く下記の動きを反映する移動平均線、10日移動平均線が最も早く価格の動きを反映する移動平均線となります。

指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)

指数平滑移動平均線も、単純移動平均線と同様に平均値をつないだ線ですが、平均の出し方が指数関数的(Exponential)となっており、単純移動平均線よりも直近の価格に比重をかけて平均値を出します。このため、単純移動平均線よりも直近の値動きに素早く反応し、相場の動きに追随しやすいという性質があります。下図の英ポンド/米ドルの日足チャートで、20日指数平滑移動平均線と20日単純移動平均線を比べてみましょう。

20MA=20日単純移動平均線
20EMA=20日指数平滑移動平均線

さらに、50日指数平滑移動平均線と50日単純移動平均線を比べてみます。

50MA=50日単純移動平均線
50EMA=50日指数平滑移動平均線

直近の価格を重視する指数平滑移動平均線は、過去に起きたスパイクにはあまり影響されず、直近に起きたスパイクを敏感に反映します。こうした性質は、移動平均をテクニカル指標として使う際に有用となります。次のレッスンでは、移動平均を使ったテクニカル分析について解説していきます。

まとめ

  • テクニカル指標とは、市場価格をもとに数学的に算出した数値で、その多くが売買シグナルとして使われます。
  • 単純移動平均線(MA または SMA)は、一定期間の平均価格を連ねたものです。
  • 指数平滑移動平均線(EMA)も同じく平均価格を連ねたものですが、直近の価格により比重を置きます。
  • 短期の移動平均線ほど、価格の動きに素早く反応し、追随していきます。逆に、長期の移動平均線ほど、ゆったりとした滑らかな動きで価格を遅れて反映します。
レッスン完了