豪ドル、対米ドルで11年ぶり安値 利下げ観測が重し
・対円では底堅く推移
・豪中銀、早ければ4月に利下げとの観測
21日の外国為替市場でオーストラリアドルの対米ドル相場が2009年3月以来、およそ11年ぶりとなる0.65米ドル台に下落。安全通貨とみなされて米ドルが買われる一方、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)による追加利下げ観測や中国経済の減速見通しが豪ドルの重しになった。
豪ドルの対米ドル相場は20日、1月の豪失業率が予想を超えて上昇し、追加利下げ観測が強まるなか、0.66米ドル台前半まで下落。10日ぶりの安値を付けた。
21日も豪ドル売りは継続。日本時間正午前に0.65米ドル台まで下押された。リーマンショックに起因する金融危機以降、豪ドルがこの水準まで下げるのは初めて。
豪ドルの対円相場は73円台後半に下落。円が対米ドルで軟調になっているため、下げ幅は限定的だった。
米ドルの対円相場は20日の欧州市場で10カ月ぶりの高値となる112円台前半まで上昇。21日のアジア市場では112円の節目を挟んだ比較的狭いレンジで推移した。
豪利下げ観測
1月の豪失業率は5.3%と、12月の5.1%から上昇した。予想は5.2%だった。
失業率の発表後、銀行最大コモンウェルス銀行は、中銀が4月に0.25%の追加利下げに踏み切るとの見方を示した。
また、銀行大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は、失業率のさらなる上昇は中銀に追加利下げを迫るのに十分だとし、利下げは4~6月期の可能性が最も高いと分析した。
中銀は今月4日の今年最初の理事会で、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.75%に据え置いた。
金利先物市場が織り込む次回3月3日の理事会での0.25%の利下げ確率は7%。20日の9%から低下した。
止まらぬ感染拡大
中国の保健当局は20日、中国での新型コロナウイルス感染者の数は新たに889人増えて7万5465人となり、また死者は118人増え2236人になったと発表した。
中国・湖北省政府は20日、企業の休業措置を3月10日まで延長すると発表した。1月24日に始まった春節(旧正月)休暇を含めると企業活動が1カ月半余り停滞することになる。
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