金価格、2000ドルも視野 1年から2年で━シティ
・実現すれば過去最高値
・低金利環境で強み
金相場が今週に入り、ほぼ7年ぶりに1トロイオンス=1600ドルの節目を超えた。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大とそれに伴う世界経済の低迷見通しを背景に、投資家が安全資産とされる金を買っていることが背景。こうしたなか、米金融大手のシティは金が向こう1年から2年で2000ドルに到達する可能性があるとの見方を示した。実現すれば過去最高値となる。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月限は18日に1600ドルの節目を突破。アップル<AAPL>が前日、2020年1~3月期に630億~670億ドルとしていた売上高予想について達成できない見込みと発表し、株式相場が急落するなかで金に買いが集まった。
アップルは主力スマートフォン「iPhone」について、中国での新型肺炎の感染拡大により、製造委託先の春節休暇明けの操業再開ペースが想定よりも緩慢であり、各国に出荷する台数が不足するとの見通しを示した。その上で、同社の世界収益に一時的に影響が及ぶ可能性があるとした。
4月限は19日には一時1614.4ドルまで上昇。中心限月として13年3月下旬以来の高値を付けた。年初からの上げ幅は90ドルを超えた。
リスクヘッジ
米CNBCが19日伝えたところによると、金はダウンサイド・リスクをヘッジするための1つの手段になるだろうとシティが同日付のリサーチノートで指摘した。
市場で不透明感が増すなか、安全資産である金に資金が投じられ、金は向こう1年から2年で2000ドルに到達する可能性があるという。
NY金相場のこれまでの最高値は11年9月に付けた1923ドル。
一方、向こう半年から1年のより短期の見通しについて、シティは1700ドルを上値目標に挙げた。20年の平均価格見通しについては1575ドルから1640ドルに引き上げている。
実需の低迷
シティは年初来の金の上昇について、投資家の間で高まりつつある景気循環を巡る懸念や米中貿易問題、米大統領選を巡る不透明感が背景にあると指摘する。
さらに、金利を生まない金は、低金利環境で強みを発揮するとした。
アジアで宝飾品を中心に金の実需が落ち込んでいるものの、投資需要や中央銀行の金買いがこれを相殺するとシティはみている。
金価格の推移 月足 (出所: IG証券)
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