原油相場、20ドル付近まで下落も ゴールドマンが予想
・OPECとロシアの価格競争始まる
・コロナ感染による需要減、金融危機時に相当
ニューヨーク原油先物相場が週明けのアジア市場で約4年ぶりの安値を付けた。石油輸出国機構(OPEC)とロシアが追加減産で合意できなかったことに加え、サウジアラビアの増産計画と対顧客販売価格の引き下げが伝えられたことが売りを呼んでいる。新型コロナウイルス感染拡大が継続していることで、市場がリスクオフに一層傾いていることも原油を含むリスク資産には逆風。こうしたなか、ゴールドマン・サックスが原油相場の1バレル=20ドル付近までの一段の低下の可能性を予想した。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近4月限は6日の通常取引を前日比4.62ドル(10.1%)安の41.28ドルで終了。その後、9日のアジア時間に一時、1バレル=30ドルちょうどまで下げ、期近限月としては2016年2月以来約4年ぶりの安値を付けた。
ロンドンICEに上場する北海ブレント原油の期近5月限は一時31.02ドルまで下落した。WTI先物と同様に期近限月としては16年2月以来の安値に相当する。
OPECとロシアなどの非加盟産油国で構成するOPECプラスは6日、今月末に期限を迎える現行の減産の延長と拡大を協議したものの、ロシアの反対で協議は決裂した。
海外メディアは、サウジアラビアが4月に日量1000万バレルを超える水準まで増産する計画と伝えた。現行の生産は同970万バレル。
さらにサウジの国営石油会社サウジアラムコが7日、4月のアジアと米国、欧州向け代表油種の公式販売価格を引き下げる旨、通知したことが伝えられた。
価格競争に突入
ゴールドマンはリサーチノートで、アウジアラビアが原油価格の過去20年で最大の値下げに踏み切ったことで、OPECとロシアの間で価格競争が始まったとみているとし、これが石油とガス市場の見通しを完全に変えたと指摘した。
コロナウイルスの感染拡大による需要への打撃は金融危機最中の09年1~3月期にみられた需要への影響に相当するとゴールドマンは指摘。また生産増加は直近の価格競争当時の15年4~6月期の増産を想起させるとした。
この時期にシェールオイル業者の台頭により生産が増加した結果、ブレント原油相場は16年1~3月期に30ドルを割り込む水準で取引された。
ゴールドマンは20年4~6月期、および7~9月期のブレント原油相場の予想を30ドルに引き下げるとし、相場は20ドル付近の井戸元キャッシュコストまで下落する可能性があるとの見方を示した。
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