原油相場、最大20%下方修正も、すでに始まっているか━ゴールドマン
・相場の上昇、リバランスに先行している
・依然10億バレルの余剰在庫が存在
ニューヨーク原油先物が9日の取引で反発。主要産油国が6日に協調減産を7月末まで延長することで合意し、需給が引き締まるとの見方が相場を支えた。一方、ゴールドマン・サックスは原油相場の15~20%の下方修正を見込んでいると明らかにした。足元の価格がファンダメンタルズからかい離しているとの見方を理由に挙げている。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場するWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物で期近の7月限は前日比0.75ドル(1.96%)高の1バレル=38.94ドルで取引を終えた。
ロンドンのインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)に上場する北海ブレント先物で期近の8月限は0.38ドル(0.93%)高の41.18ドルで引けた。
米テレビ局CNBCによると、ゴールドマンは9日付のリサーチノートで、40ドルを上回る価格は供給の回復に向けた動機付けになるだろうが、その一方、下方リスクは相当高まったとみていると指摘。15~20%の下方修正を予想するとし、8日の大幅な下落をもって修正はすでに始まったかもしれないとの見方を示した。
WTI7月限は8日、前週末比1.36ドル(3.44%)安の38.19ドルで取引を終えている。7日夜の時間外取引で40.44ドルと、中心限月として3月6日以来約3カ月ぶりの高値を付けたが、8日は利益確定の売りに押された。
最近の原油相場の上昇にもかかわらず、ゴールドマンはロングポジションの推奨をちゅうちょしているという。
1つは余剰在庫が依然として非常に多いこと。その量は10億バレルと推定される。コロナウイルス感染拡大への懸念により、世界の経済活動の大半が未だ停止していることが在庫積み上がりの背景にある。
ゴールドマンはまた、足元の価格はファンダメンタルズからかい離していると指摘。10億バレルの余剰在庫が存在するなか、価格がリバランスに先行していることに注意を向けるべきとした。
原油の需給
米エネルギー情報局(EIA)は9日、月次報告を発表し、2020年の米原油生産について、日量67万バレル減の同1156万バレルになるとの見通しを示した。従来見通しの日量54万バレル減よりも大幅な落ち込みを予想した。
一方、EIAは20年の世界の石油消費については日量830万バレル減を見込んでいる。従来見通しは日量815万バレル減だった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成するOPECプラスは6日の会合で、5月から2カ月間の予定で始めた日量970万バレルの減産を7月末まで延長することで合意している。
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