金は2000ドルへ 21年末予想をABNアムロが引き上げ
金価格は各国の大規模な財政出動などで押し上げられるとABNアムロが予想。2021年末の価格見通しを2000ドルに引き上げた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物が9年ぶりの高値圏で推移している。銀行大手ABNアムロは各国の積極的な財政出動などが金価格を押し上げるとし、2021年末の価格見通しを1トロイオンス=2000ドルに引き上げた。
ABNアムロは先週発表した「Precious Metals Watch」で、金は8日に重要な心理的抵抗線であった1800ドルをクリアしたと指摘。その上で、20年末の価格を1900ドル、21年末を2000ドルと予想した。従来予想はそれぞれ1700ドルと1800ドルだった。
ABNアムロによると、金には多くの上昇要因が存在する。まず、中央銀行の政策が金上昇の主要なけん引役になるとし、各国中銀による政策金利のゼロ付近への引き下げを挙げた。金利は当面、低水準を継続する見通しだ。
さらには、米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀、欧州中央銀行(ECB)など主要中銀による量的緩和策の実施が金高に寄与するとし、市場への通貨供給量の増大に伴い、通貨価値は低減し始めると述べた。
第2の要因として多くの国でのマイナス金利を挙げている。金は金利を生まない資産であるため、マイナス金利は金価格の支援材料になる。
第3の要因は米国債の実質利回りがマイナスで推移している事実という。FRBがいずれイールドカーブコントロールの導入に踏み切るとの見方がある限り、米国債利回りの上値は抑えられる。このため、投資家が長期的にインフレを懸念すれば、米国債実質利回りのマイナス幅は拡大する。実際、これが金の上昇の一要因になってきた。
その一方、ABNアムロは先行き、米国債利回りが比較的安定して推移する一方、インフレの高進は見込まれないとしており、このため第3の要因が金価格に及ぼす影響は小さくなるとしている。
第4に多くの国で大規模な財政出動により、財政赤字が大幅に増加することが挙げられるという。
最後に良好なテクニカル見通しを挙げている。金が1800ドルを突破したことで、次の目標は過去最高値の1921ドルとなる。これを超えれば、2000ドルはもはや目の前だ。
ポジショニングによる影響
一方、短期的には投資家のポジショニングで金価格のボラティリティが高まる可能性があるという。リスクオフの局面ではドルが選好され、金にはある程度の調整が入る可能性がある。
ただ、このような調整は短期的なものになり、その後は押し目買いによる反発が見込まれると述べた。
COMEXで取引の中心である8月限は8日に一時、1829.80ドルと中心限月として2011年9月以来、約9年ぶりの高値を付け、その後も高値圏にとどまっている。
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