金は3000ドルまで上昇も 米マネタリーベース拡大で━調査
・米マネタリーベースと金に強い相関性
・理論価格は1892ドル
金相場は新型コロナウイルスの感染拡大に対する米連邦準備制度理事会(FRB)の政策対応を受け、1トロイオンス=3000ドルまで上昇する可能性がある。エディソン・インベストメント・リサーチが分析した。
エディソンは最新リポートで、5月13日時点の米マネタリーベースは5兆1000億ドルであり、金相場との歴史的な相関性を考慮すれば、金の理論価格は1892ドルで、さらに3067ドルまでの上値余地があるとの見方を示した。
予想は新型コロナの感染拡大の長期化、およびFRBのバランスシートの安定もしくは拡大継続を前提にしている。
エディソンは米マネタリーベースと金相場には強い相関性があると指摘する。両者の過去からの数学的関係に基づけば、2019年7月末にマネタリーベースが3兆2600億ドルであった際の金の理論価格は1291ドルで、過去における理論価格からのかい離を考慮すれば、1543ドルまでの上値余地が見込まれた。
この時は計算どおりになり、金相場は19年5月の1270ドルから同年8月に1540ドルまで上昇した。
今年3月の債券保有を7000億ドル相当増やす量的緩和の導入に伴うマネタリーベースの4兆2000億ドルへの拡大によりもたらされた金の理論価格は1619ドルで、上値余地は2000ドル超。
FRBは4月下旬に無制限の量的緩和の導入に踏み切った。債券買い入れ総額は今日までに2兆ドル近くに達したとの見方がある。他の全ての条件が同じであると仮定すればマネタリーベースは5兆5000億ドルになり、この場合の金の理論価格は2000ドル超、上値余地は3281ドルになる。
米実質金利
エディソンは金相場を支援し得るもう1つの要因として米実質金利の潜在的なボラティリティを指摘する。
足元の実質金利はマイナスだが、状況は変化する可能性があるとエディソンは指摘。フェデラルファンド金利がすぐさまゼロ付近から上昇する可能性は低いものの、インフレが変動する潜在性は存在するとし、消費者物価指数(CPI)がマイナスになれば実質金利は即、プラスになるとした。
その上で、金相場が急伸した1979年から80年にかけてインフレと実質金利にボラティリティが存在した時期があり、これが過去の先例になり得ると指摘。当時、金は300ドル台から800ドル台まで急伸した。
当時のインフレ変動の最大の要因は石油価格の急伸・急落であるのに対し、足元で起こり得るインフレ変動は債券買い入れや都市封鎖等の影響がもたらすものになるとしている。
24日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物は4営業日ぶりに反落。取引の中心である8月限は前日比6.9ドル(0.4%)安の1775.1ドルで取引を終えた。時間外取引で一時、1796.1ドルと中心限月として11年11月以来約9年ぶりの高値を付けていた。
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