パラジウム、今年の高値3200ドルとの予想も 業界団体調査
・三菱商事は2600ドルと予想
・鉱山にパラジウム増産の柔軟性ないとの見方
価格の高騰が続くパラジウムは今年さらに上昇する可能性がある。貴金属業界の主力団体であるロンドン地金市場協会(LBMA)が実施した調査によると、一部のアナリストはパラジウムが今年、1トロイオンス=3200ドルに到達すると予想している。
LBMAが1月後半にアナリスト25人を対象に実施した今年のパラジウム価格予想の調査によると、INTL・FCストーン、および独立系のアナリストらが予想価格レンジの上限を最も高い3200ドルとした。また、TDセキュリティーズが2615ドル、三菱商事が2600ドルをレンジの上限に挙げた。
一方、予想レンジの下限で最も低いのはコメルツバンクのアナリストによる1500ドル。
予想の平均は2116ドルだった。これは2019年の相場の年間平均値である1536.7ドルを37.7%上回る。また今年1月2~14日の平均値である2065.2ドルを2.5%上回る。
INTL・FCストーンのアナリストは、今年のパラジウム相場は力強い一方、大きな変動を伴う可能性があると予想した。その上で、パラジウムは歴史的に南アフリカのプラチナ鉱山、またはロシアのニッケル鉱山における副産物として生産されており、今でこそパラジウムが鉱山の主要な収入源になってはいるものの、各社は本来の主産物を中心に生産計画を立てていると指摘。自動車セクターの旺盛な需要を満たすためのパラジウムの生産拡大における目先の柔軟性は期待できないと述べた。
一方、中国で23年に実施される予定の自動車排ガス規制の一段の強化を前に、同国の需要増は避けられないとした。
パラジウムはガソリン車の排ガス浄化触媒に使用される。
これに対し、コメルツバンクのアナリストは、欧州で新たな排ガス規制が21年に施行されるため、自動車セクターの需要はすでに今年のうちに減少が見込まれると予想。中国と米国の乗用車の販売台数も減少が見込まれると述べ、自動車セクターでの需要の減少分を他のセクターが吸収するのは困難だとの見方を示した。
3500ドルまで上昇との見方も
これとは別に、バンクオブアメリカ(BOA)セキュリティーズは1月27日付のリサーチノートで、現在のパラジウム相場の上昇が3500ドルまで継続する可能性があると分析したことを貴金属市場ウェブサイトKitcoが同日に伝えている。
BOAは、回収・リサイクルされたパラジウムの一層の流通、もしくはパラジウム在庫の放出が上昇を抑えるだろうと指摘したが、そのいずれも早急に起きる可能性は低いと予想した。
先物の指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心の20年3月限の6日終値は前日比89.5ドル(3.85%)安の2237.2ドル。
先物相場のこれまでの場中高値は1月22日の時間外取引で付けた2427ドル。相場は依然として高値圏にある。
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