パラジウム、3500ドル付ける可能性も　年内は上昇継続か―調査

貴金属パラジウムの価格は2020年を通じて上昇し、1トロイオンス＝3500ドルに到達する可能性がある。一部の市場関係者によると、世界的な排ガス規制の強化で、ガソリン車の排ガス浄化触媒に使用されるパラジウムの需要は引き続き増加する見通しだ。

先物の指標となるニューヨーク商品取引所（COMEX）で取引の中心の2020年3月限の27日終値は前週末比142.7ドル（6.16％）安の2173.6ドル。新型肺炎への感染拡大で中国の景気減速懸念が台頭するなか、利益を確定する動きが広がった。

27日終値から3500ドルまではさらに60％超の上昇余地がある。先物相場のこれまでの場中最高値は22日の時間外取引で付けた2427ドル。

貴金属市場ウェブサイトKitcoが27日に伝えたところによると、バンクオブアメリカ（BOA）セキュリティーズは同日付のリサーチノートで、パラジウム相場の年内の動向について、強気を維持すると表明。「何らかの代替」が起きるまで価格は飛躍的に上昇する可能性があるとの見方を示した。今回の上昇で相場は3500ドルまで上昇する可能性があると分析する。

何らかの代替とは、回収・リサイクルされたパラジウムの一層の流通、もしくはパラジウム在庫の放出であるとし、いずれも早急に起きる可能性は低いとした。

その上で、環境保護にはパラジウムの価格上昇という代償を伴うとし、結局のところ、われわれは何かを妥協する必要があるとの見方を示した。

BOAはまた、強化される排ガス規制の下で自動車メーカーは今後も一層多くのパラジウムを使用することになるだろうと指摘する。

欧州連合（EU）における段階的な自動車排出ガス規制で1996年から2000年に施行された「Euro 2」におけるガソリン車の排ガス浄化触媒に含まれるパラジウムを含むプラチナ系貴金属の価値は1台あたり平均27ドルだったが、現在は推定420ドルだという。

供給

BOAはパラジウムの需要は引き続き強いが、供給は減少しているとし、鉱山からの供給は2004年以降減っていると指摘した。

また、回収・リサイクルされたパラジウムが供給不足の問題を解決する可能性も高くはないという。再処理可能な使用済み触媒の在庫はそれほど大量に存在しないためだ。

一部の市場アナリストは、より安価なプラチナがパラジウムを代替すると予想するが、BOAはの見方は異なる。

英特殊化学品大手のジョンソン・マッセイが最新式の排ガス浄化触媒工場を展開する北マケドニア共和国の通関統計を引き合いに出し、同国のパラジウムの輸入はプラチナとの相対において増加しており、プラチナへの代替の動きは現時点ではそれほど大きな影響を与えていないとの見解を示した。

一方、米金融大手シティは先週、足元でパラジウム価格はプラチナの2倍を大きく上回っており、自動車メーカーによるパラジウムからプラチナへの材料の切り替えが進む可能性があると指摘。ガソリン車においては今後1年半から2年でパラジウムの25％がプラチナに切り替えられる可能性があるとの見方を明らかにしている。