パラジウム、ノリリスクが3トン放出でも20年は上昇継続へ―調査
・パラジウム投資ファンドがインゴットを供給へ
・中国景気懸念で高値離れるも昨年末を15%超上回る価格水準
世界最大のパラジウム生産会社のロシアのノリリスク・ニッケルが29日、パラジウム備蓄から3トンを市場に放出する意向にあることを明らかにした。逼迫する需給の短期的な緩和が目的という。ただ、市場はこれが相場の今年の上昇を妨げるとはみていない。
ロイターが同日、ノリリスクのマーケティング部門の責任者の発言を引用する形で同社による新たな供給を伝えた。この責任者は潜在的な工業用需要は、相場の動きが示唆するほど速いペースで増えているわけではないと述べ、市場は過剰に反応しているとノリリスクはみていると語った。
その上で、インゴット(塊)形状のパラジウムの不足がリースレート(貸出金利)の上昇、バックワーデーション、そして相場の激しい変動につながっていると述べた。
同社が2016年に設立したパラジウム投資ファンドであるグローバル・パラジウム・ファンドがインゴット3トンを供給するという。
この責任者によると、ノリリスクは今年のパラジウム生産におけるインゴットとスポンジ(粉)形状の比率について、インゴットを増やしているという。ただ、全体の生産はガイダンスで明らかにした約85トンから不変という。
パラジウムは市場での取引には主にインゴットが用いられる。これに対し、工業用にはスポンジが用いられることが多い。
慢性的な需給逼迫
一方、ノリリスクのパラジウム放出の報道の後、TDセキュリティーズはリサーチノートで、相場の上昇が妨げられることはないとの見方を示したと貴金属市場ウェブサイトKitcoが伝えた。
それによると、ノリリスクのパラジウム放出はスポンジのディカウントを和らげるであろうが、ここ何年も続いている慢性的な需給逼迫が変わることはないとTDセキュリティーズは予想する。
さらに、この上昇がファンダメンタルズに基づいており、構造的な要因から需要増加が見込まれることを考慮に入れれば、今年のパラジウム相場にとって最も抵抗の少ない道は引き続き上方に向かう道ということになるとした。
パラジウムの需給の逼迫は、鉱山からの供給が減少するなか、世界的な排ガス規制の強化により、ガソリン車の排ガス浄化触媒に使用されるパラジウムの需要が増加していることが背景にある。
強基調が継続
先物の指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心の20年3月限の29日終値は前日比17.1ドル(0.78%)高の1トロイオンス=2202.2ドル。
新型肺炎への感染拡大で中国の景気減速懸念が台頭するなか、先週付けた過去最高値の2427ドルから下げてはいるが、依然として昨年末の水準を15%超上回っている。
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