豪利下げ、早ければ4月との見方 1月失業率の上昇で
・中銀は労働市場動向を重視
・豪ドル、対米ドルで約11年ぶり安値
オーストラリア連邦統計局が20日発表した1月の雇用統計は、失業率が予想を超えて上昇。これを受け、市場はオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が早ければ4月に追加利下げを実施するとみている。
日本時間午前9時半発表の1月の失業率は5.3%と、12月の5.1%から上昇した。予想は5.2%だった。
一方、1月の新規雇用者数は前月比1万3500人増えた。予想は1万人増。
同国の銀行最大手コモンウェルス銀行は、1月の雇用統計を受け、中銀が4月に0.25%の追加利下げに踏み切るとの見方を強めたと伝えられた。
また、銀行大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)はリサーチノートで、中銀は経済の健全性をはかるための主要バロメーターとして労働市場の動向を重視しており、失業率の上昇に落胆しているだろうと指摘。失業率のこれよりの上昇は、中銀に追加利下げを迫るのに十分だとの見方を示した。
その上で、利下げは4~6月期の可能性が最も高いと分析した。
早期の利下げ観測が高まるなか、オーストラリア国債利回りは低下。10年債利回りは一時、10日ぶりに1%を下回った。
中銀は今月4日の今年最初の理事会で、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.75%に据え置いた。
今月の理事会の議事要旨によると、理事会メンバーは追加利下げについて協議し、経済成長や雇用を支えるために必要であれば追加的な緩和の用意があるとの姿勢にある。
なお、金利先物市場が織り込む次回3月3日の理事会での0.25%の利下げ確率は9%。この3日間変化はない。
豪ドル、リーマンショック後の安値更新
20日の外国為替市場ではオーストラリアドルが対米ドルで約11年ぶりの安値を付けた。10日にリーマンショック後の安値を付けていたが、これを下抜いた。
朝方、0.6680米ドルの節目付近で支えられていたが、雇用統計発表後に売られ始め、正午過ぎに0.6630米ドル付近で下げ止まった。
豪ドルは対円では、19日の欧米市場で進んだ米ドル買い・円売りを背景に、早朝に74円台半ば付近まで上昇。約1カ月ぶりの高値を付けた。
雇用統計発表後に一時、74円の節目を割り込んだが、午後早くにこの節目を回復。その後は74円台前半で取引されている。
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