豪ドル・円が下落、S&Pが豪格付け見通しを「ネガティブ」に下げ
・豪「AAA」格、2年以内に引き下げも
・一時66円台半ば
8日午前の外国為替市場でオーストラリアドルが円などの主要通貨に対し、朝方よりも水準を引き下げた。格付け会社S&Pグローバル・レーティングがオーストラリアの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたことで豪ドルを売る動きが活発になった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う財務負担の増加を見通し変更の理由に挙げている。
豪ドルの対円相場は朝方の67円台前半から66円台半ばへと下落した。日本時間昼前は66円台後半で推移している。
豪ドルの対米ドル相場も早朝の0.61米ドル台後半から0.61米ドル台前半まで下げた。
S&Pは8日、オーストラリアの長期発行体格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表。新型コロナによる経済への影響を緩和するために政府が打ち出した大規模な経済対策により財務負担が増加するためとした。
経済的な損失が想定よりも深刻になった場合、同国に付与している最上級「AAA」の信用格付けを今後2年以内に引き下げる可能性があるという。
S&Pは3月11日発表の声明で、今後見込まれる新型コロナスに起因するテクニカル・リセッションが「AAA」格を直ちに脅かすことはないとしていた。
新型コロナ経済対策
同国のモリソン首相は3月に2度、景気刺激策を発表した。金額は第1弾は176億豪ドル、第2弾が664億豪ドル。
このほか、政府とオーストラリア準備銀行(RBA、中銀)はそれぞれ150億豪ドルと900億豪ドルの中小企業向け金融支援策を発表している。
これらを合わせると1890億豪ドルとなり、国内総生産(GDP)の9.7%に相当する。
リセッション予想
S&Pはオーストラリアが今年上期にリセッション(景気後退)に陥ると予想する。同国はリセッションの定義である「2四半期連続のマイナス成長」を経験していない期間が2019年10~12月期で114四半期連続となり、世界最長を記録している。
オーストラリアの財政収支が均衡に近づいていた18年9月、S&Pは同国の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げていた。
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