アンジェスが年初来高値、新型コロナワクチン臨床試験を前倒し
・臨床試験、当初は9月開始予定
・ペプチド研究所の参画発表
14日の株式市場で創薬ベンチャー、アンジェス<4563>が大幅に続伸し、年初来高値を更新した。大阪大学と共同開発する新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を前倒しする方針を固めたと伝わったことが材料視されているもよう。アンジェスはまた、同開発にペプチド研究所が参画することを発表した。
午前9時48分現在、前日比124円(16.36%)高の882円。一時、ストップ高となる150円(19.79%)高の908円まで買われ、年初来高値を更新した。
14日付の日本経済新聞は、アンジェスの新型コロナのワクチン開発の臨床試験について、当初の9月開始の予定が1カ月程度早まるもようと伝えた。動物を対象とした非臨床試験の進捗が順調なことなどから、厚生労働省と協議して決める。これにより、2021年の早い時期に使用される可能性が出てきたという。
このワクチン開発はアンジェス、および阪大(臨床遺伝子治療学・健康発達医学)が保有するプラスミドDNA製品の開発実績に基づいて行われている。アンジェスは阪大発の企業。
アンジェスは3月26日、DNAワクチンのマウスやラット、サルなどの動物への投与を行い、抗体価産生力、有効性および安全性の確認のための非臨床試験を開始したと明らかにした。このプロセスを経ることで、初めて人への投与を行う臨床試験が可能になる。
3月5日付のリリースによると、不活化ウイルスをワクチンとする方法(弱毒化ワクチン)や遺伝子組換えウイルスタンパク質をワクチンとする方法に比べて、アンジェスの技術は安全かつより短期間で製造プロセスを確立することが可能。動物での試験を経て、早ければ半年以内に臨床試験に進みたい意向を示していた。
ペプチド研究所
アンジェスはこの日、ペプチド研究所が同開発に参画することが決定したと明らかにした。抗体価測定のためのペプチド合成に関する研究に関わるという。
ペプチド研究所は阪大蛋白質研究所に端を発する企業で、ペプチド医薬品原薬や研究用生理活性ペプチド、ペプチドに対する抗体などの研究、製造を行っている。
アンジェスのワクチン開発にはすでにタカラバイオ<4974>、ダイセル<4202>、EPSホールディングス<4282>が参画している。
WHOリストに掲載
アンジェスは10日、世界保健機関(WHO)が公開する新型コロナウイルス感染症向けワクチン開発機関リストに、阪大との共同開発が掲載されたと発表した。
このリストによると、4日時点で第1相臨床試験にあるワクチン候補は2つのみ。アンジェスと阪大の共同開発は、前臨床試験の段階にあるワクチン候補として掲載されている。
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