豪ドル、上値重い 香港人権法案可決で米中緊張激化を懸念
・合意なければ対中関税一段と引き上げると米大統領
・人民元基準値、半月ぶりの元安水準
20日午後の外国為替市場でオーストラリアドルは円や米ドルなど主要通貨に対して上値の重い展開となっている。米議会上院による香港人権・民主主義法案の可決により米国と中国の緊張が激化する兆しが強まり、中国景気に敏感な豪ドルが下落した。一方、安全資産とされる円には買いが入った。
米上院が19日に香港人権法案を可決したことが日本時間20日朝に伝わると、豪ドルの対円相場はそれまで維持していた74円ちょうどの節目を一時割り込んだ。
じきに74円台を回復したが、日本時間午前10時15分に中国人民銀行(中央銀行)が発表した人民元の対米ドルでの売買の基準値が半月ぶりの元安・ドル高水準だったことで、直後に豪ドルは73.80円付近まで再び売られた。これ以降は74円を挟む小刻みの動きに終始した。
豪ドルの対米ドル相場もまた、人民元の対米ドルでの売買の基準値発表を受けて下落。0.6810米ドル付近まで押され、この日の安値を付けた。これより前、0.6830米ドル付近で取引されていた。
香港人権法案
米上院が全会一致で可決した香港人権法案は、香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているかの検証を米政府に毎年義務付ける。下院では10月にすでに成立しており、両院の法案の中身を調整したうえで、トランプ大統領が署名して成立する。
トランプ氏は法案に署名するか拒否権を行使するかの最終決定は下していないと伝わった。
同法案が成立した場合、中国側の態度の硬化により、中国による米農産品購入拡大などを盛り込んだ「第1段階の合意」の可能性が後退するのは必至とみられる。両国は現在、合意を巡り詰めの交渉を行っている。
トランプ氏は19日、米政府が中国と貿易問題で合意できない場合には対中関税を一段と引き上げると述べている。
一方、中国外務省の馬朝旭次官は20日、在中国米大使館の当局者ウィリアム・クライン氏を呼び、香港人権法案について強く抗議した。
中国人民銀行が発表した人民元の対米ドルでの売買の基準値は、前日比0.0088元の元安・米ドル高の1米ドル=7.0118元。5日以来の元安・ドル高水準だった。
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