パラジウム需給に影響も プラチナで一部代替の新排ガス触媒開発に成功
・BASFが開発、排出基準クリア
・プラチナは供給過多続く
ガソリン車の排ガス浄化触媒に使用される貴金属パラジウムの需給状況に今後、変化が生じる可能性がある。
ドイツの化学大手BASFが、パラジウムの分量を減らし、より安価なプラチナを代替として使用する触媒の開発に成功したことを南アフリカの鉱山大手シバニェ・スティルウォーターが10日明らかにした。この研究にはシバニェと南アの同業インパラ・プラチナムが出資している。
これによりパラジウムの長期的な需給バランスの正常化が可能になるとの見方をシバニェは示した。
中国やインド、欧州連合(EU)などでの自動車の排ガス規制強化に伴い、パラジウムの需要は急増した。昨年12月に南アで電力不足が発生し、主要鉱山で供給が滞ったことをきっかけに需給逼迫の度合いが強まり、価格の上昇に拍車がかかった。
パラジウムはプラチナやニッケルの副産物であり、足元の需要に基づく生産調整が困難なことも需給逼迫の一因だ。
パラジウム現物相場は2月下旬、過去最高値となる1トロイオンス=2875.5ドルを付けている。
日本時間11日正午過ぎの価格は2310ドル。
一方、主にディーゼル車の排ガス浄化触媒に使用されるプラチナは供給過多にある。
2015年に発覚したドイツのフォルクスワーゲンによる排ガス不正問題をきっかけに、欧州の自動車メーカーがディーゼル車を減産に踏み切ったことが需要減少の一因。
プラチナ現物相場の最高値は08年に付けた2290ドル。現在は876.0ドルで推移している。
シバニェによると、新たな触媒は排出基準をクリアしたが、新車に取り入れ始められるのに向こう1~2年を要する。
プラチナ需給
プラチナの国際調査機関、ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)は4日、20年のプラチナの自動車向け需要は4年ぶりの増加が見込まれると発表。
プラチナをパラジウムの代替として使う動きが20年中に出始めるとみており、プラチナの自動車向け需要が前年比4%増加すると予想した。
たた、投資需要が減少するため、20年のプラチナ市場は供給過多の状況が続く見通しという。
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