【新型コロナ】デンカがストップ高、アビガン原料生産へ 富士フイルムも上昇
・富士フイルム、アビガンの増産準備
・ドイツ政府がアビガン大量調達へ
3日の東京株式市場で化学メーカーのデンカ<4061>がストップ高まで上昇し、そのまま取引を終えた。新型コロナウイルスの治療薬として期待が高まる抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の原料の生産を始めると発表したことが材料になった。アビガンを手掛ける富士フイルムホールディングス<4901>も買われている。
デンカの終値は前日比500円(24.03%)高の2581円。3月6日以来の高値を付けた。
デンカは値上がり率で東証1部トップ。出来高も1700万株を超え、東証1部銘柄の出来高ランキングで8位につけた。
デンカは2日の取引終了後、アビガンの原料となる有機化合物「マロン酸ジエチル」の生産を始めると発表した。政府から要請を受けて決定した。マロン酸ジエチルの国内唯一のメーカーだったが、海外勢との競合が激しくなったため、2017年4月に生産を休止した。同社は5月中の生産再開をめざすという。
富士フイルムは大幅に反発した。終値は339円(6.25%)高の5764円。
富士フイルムの株価は2月25日に5890円まで上昇し、上場来高値を更新している。
アビガンは富士フイルムのグループ傘下にある富山化学工業(現富士フイルム富山化学)が開発した。
3月31日付の富士フイルムのリリースによると、富士フイルム富山化学はアビガンで新型コロナウイルスを治療する臨床試験を開始した。
富士フイルムによると、富士フイルム富山化学はアビガンの増産準備を進めている。同グループは国内外のパートナーとの連携体制を構築し、増産を加速させていくという。
デンカはマロン酸ジエチルの供給先を明らかにしていないが、主に富士フイルム向けになるとみられると伝えられている。
海外もアビガンに注目
フランクフルター・アルゲマイネなどのドイツ紙は2日、ドイツ政府が新型コロナウイルスの治療に向け、アビガンを数百万錠単位で調達すると伝えた。主に重症者に投与する方針という。
また、米政治サイトのポリティコは3月31日、複数の米政権幹部が食品医薬品局(FDA)に対し、アビガンを国内の新型コロナウイルス感染者に投与できるよう要求していると伝えた。
一方、中国政府は3月17日、アビガンの新型コロナウイルスへの有効性を臨床研究で確認したと発表している。
中国・湖北省武漢市と広東省深セン市の病院で計200人の患者を対象に行われた臨床試験は、投与した患者の方が短期間に陽性から陰性になり、肺炎症状なども改善した。中国政府はアビガンを医療現場の治療に使うよう正式に推薦する方針と伝えられた。
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