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ブレグジット巡る貿易交渉に迫る期限 FTAなしの可能性も

ブレグジットを受けて英国とEUが進めてきた貿易交渉がまもなく期限を迎える。FTAなしの離脱になる可能性もあり、各方面に動揺が広がっている。交渉を巡る主な動きと予想される影響をまとめた。

Source: Bloomberg

今年1月の英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を受けて両者が進めてきた自由貿易協定(FTA)などの将来関係を巡る交渉が行き詰まりの様相を呈している。FTAの有無を決断する期日とジョンソン英首相が定めた今月15日まで残りあと1週間となった。

2日まで行われた最後の交渉でも双方は合意に至らず、ジョンソン首相とEUのフォンデアライエン欧州委員長は3日のテレビ会議で交渉の継続を決めた。

しかし、英国の排他的経済水域(EEZ)におけるEU加盟国の漁業権の扱いや公平な競争条件の確保、紛争解決などで双方の溝は依然として深い。交渉が合意なく終了する可能性が高まるなか、金融市場は先行きの不透明感を背景に不安定な動きをみせている。

ポンドの対ユーロ相場は5月半ば以降、0.90ポンドの節目付近で安定していた。しかし、英政府が9月9日、EUと締結した国際条約であるブレグジット協定の一部を無効化する法案を議会に提出したことで急速に売られ、同11日に約半年ぶりの安値となる0.93ポンド付近まで下落した。それ以降も0.90ポンドを大きく下回る水準で取引されている。

英株式相場もまた上値を抑えられた状態が続く。同国の代表的な株価指数であるFT100種平均は9月半ば以降、節目の6000を割り込んだままだ。

ブレグジット協定の一部ほごに

先に言及した英政府の法案は、ブレグジット協定における北アイルランドに関する取り決めをほごにする内容を含む。協定の内容を英国は「不適用にしたり、修正したり、換言したりできる」との部分がそれに該当し、ジョンソン首相は議会で、協定の北アイルランドに関する条項を巡る不合理な解釈から英国を守る法的な安全網と説明した。

法案は下院を通過し、上院に送られた。上院で可決されれば、エリザベス女王の裁可を経て成立する。ただ、反対派議員が多い上院は審議に時間がかかる見通しだ。

一方、EUのフォンデアライエン委員長は今月1日、英国の法案は離脱時の取り決めと完全に矛盾するとし、EU司法裁判所への提訴も視野に入れた法的措置に乗り出すとの正式な通告書を発表している。

アイルランド国境管理問題

一連の混乱を受け、ブレグジットの条件を巡る交渉で最も難航した北アイルランドの国境管理の問題に再び焦点が当たっている。

北アイルランドを英国本土から事実上切り離し、北アイルランドにのみEUの規則や関税を適用することで双方は合意していた。紛争の歴史に鑑み、北アイルランドとEU加盟国であるアイルランドの間の物理的な国境の設置を回避し、ブレグジット後もスムーズなモノの流れを確保するために考案された仕組みだ。

具体的には、英国本土から北アイルランドにモノが流入する際、北アイルランドの港湾施設で税関や規制検査が行われ、EUの関税がいったん代行徴収される。モノが北アイルランドにとどまる場合は、業者が関税の還付請求を行う。

この施策は国家の分断につながりかねないとの英国内の不安に対し、北アイルランドは英国本土と一体であり、ブレグジットによって不都合が生じることはないとジョンソン首相は協定の締結時に説明していた。

しかし、FTAがまとまらずにブレグジット後の移行期間が年末に終了すれば、その説明が実態とかけ離れていることが明白になる。首相の言い分を通すために新たな法案が必要になったとみられている。

自動車業界、FTAなしなら巨額の損失

もし両者が目指した関税や数量制限のないFTAが締結できなければ何が起きるのか。

この場合、双方の貿易は来年からWTO(世界貿易機関)が定める最低限のルールに則って行われる。モノに関税が課されるほか、国境を越えたサービス取引やデータ移転に制限が掛かるおそれがある。

産業界はFTA交渉の決裂の可能性を憂慮している。FTAなしの離脱になれば、例えば英国からEUに輸出される乗用車には新たに10%の関税が賦課され、事業の継続が困難になる。バンとトラックには22%の関税が課される。

欧州の23自動車業界団体は9月14日に共同声明を発表し、FTA交渉が決裂した場合、2025年までに1100億ユーロ(約13兆円)の損失が発生し、1460万人の雇用に影響が及ぶとの試算を公表した。

声明によれば、FTA交渉に合意できない場合、今後5年で生産台数が300万台減少するとみられ、EU域内の工場で577億ユーロ、英国の工場で528億ユーロの損失が生じるという。

それでなくとも、新型コロナウイルスの感染拡大により、欧州自動車業界はすでに深刻な打撃を受けており、FTAなき離脱は状況をさらに悪化させる。声明によると、コロナ禍で生産台数は約360万台減少し、1000億ユーロの損失が発生している。

23団体には欧州自動車工業会(ACEA)や欧州自動車部品工業会(CLEPA)、英国自動車製造販売者協会(SMMT)などの有力組織が含まれる。

銀行業界にも動き

FTAを核とした将来関係の交渉には金融サービスも含まれる。ブレグジット後の移行期間終了を控え、銀行業界は新たな環境への適応を余儀なくされつつある。

世界の金融機関はEU加盟国の1つで免許を取得すれば、EU全域で事業を行うことが可能になる。いわゆる「シングルパスポート(単一免許)」と呼ばれる制度だ。移行期間が終了すれば、英国の免許に対して同制度は適用されなくなる。

対処策として英国はEUに同等性評価を要求してきた。EUの監督機関が英国の金融規制を評価し、EUと同等と認めた場合に市場へのアクセスが容認される。

この制度により英国に対してEU市場へのアクセスが認められれば、ブレグジット前と同様にEU向けの大半の金融サービスを英国から継続する道が開けるため、外国の金融機関は英国からEUへの人員の異動に関して半ば様子見の姿勢を取っていた。

こうしたなか、欧州中央銀行(ECB)が大手行に対し、移行期間の終了に備えた準備を進めるよう促していると英フィナンシャルタイムズ紙が9月初めに報じた。ECBは大手行によるロンドンからユーロ圏の拠点への人員の異動や資産の移転が十分ではないと認識していると同紙は伝えている。

英国との将来関係の交渉を有利に進めるためのEUによる圧力ととらえる向きもあるという。

TPPに熱い視線

ベーカー&マッケンジーによる興味深い調査がある。同社は5日に「The Future of UK Trade(英国の貿易の将来)」と題した報告書を発表。この中で、もしFTA合意が締結された場合でも、新型コロナとブレグジットの影響により、EUに残留した場合に比べて英国の国内総生産(GDP)は長期的に3.1%減少すると試算。また、FTA合意がない場合はGDPが3.9%減少するとした。

将来の経済成長を確実にするため、英国は日米などEU域外との貿易協定交渉を急いでおり、日本とは包括的な経済連携協定(EPA)の締結で大筋合意した。ブレグジット後に主要国とまとめた最初の貿易協定だ。年内に署名し、21年1月1日の発効を目指す。英政府によると、日英貿易協定で両国間の貿易額は152億ポンド(約2兆円)増える見通し。

英国はまた、日本が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を表明。英政府によると、同国は9月にTPPに参加する11カ国と加盟に関する最初の協議を行った。TPPが18年に署名されて以来、すべての参加国と加盟希望国が協議を行うのはこれが初めてとなる。

ベーカー&マッケンジーの報告書によると、英国のモノの輸出のうち約25%がTPP参加11カ国と米国に向けられている。TPPへの参加と米国とのFTA締結で、英国のGDPは長期的に0.25%押し上げられる見通しという。


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