金価格、バイデン氏勝利なら上昇の可能性─ヘレウス
11月の米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利すれば、金価格が上昇する可能性がある。貴金属サプライヤーのヘレウスが予想した。
貴金属サプライヤーのヘレウス・プレシャスメタルズは5日、11月の米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利すれば、金価格が上昇する可能性があるとの見方を示した。
ヘレウスはリポートで、バイデン氏が当選すれば、株式から金や債券などのより安全な資産へと資金がシフトする可能性があると分析した。バイデン氏が提案する財政的な大盤振る舞いを市場が懐疑的にみているためという。
バイデン氏が主張する政策は、今後10年間で7兆ドルを超える規模の歳出増加を伴う。公的医療保険の拡大や教育の充実、インフラや住宅の整備、大型環境投資などに取り組むという。
一方、同氏は法人税率の引き上げなどを含む増税でこれを賄う方針であるが、10年間の増税額は4兆ドル超にとどまる。
すでに国内総生産（GDP）を上回る規模にある米政府債務は、新型コロナ経済対策で過去最悪の水準にまで拡大している。バイデン氏の政策は債務のさらなる膨張につながり、金価格の上昇をもたらす可能性があるという。
追加経済対策
一方、選挙にかかわらず、短期的には脆弱な米国のマクロ経済環境が金価格を支える見通しという。コロナワクチンの普及はまだ先の話であり、米国の景気回復が心もとない状態にあるなか、金はセーフヘイブン（安全な避難所）として人気を呼ぶとみられる。
共和・民主両党による追加の新型コロナ経済対策を巡る協議も一進一退を続けており、目先の合意の可能性は低い。
郵便投票を巡る混乱の可能性やトランプ大統領のコロナ感染などの不確実性を金価格はすでに織り込んでいる。しかし、投票日が近づくにつれ、不確実性はより高まるとみられ、金を一段と輝かせるとヘレウスは予想する。
5日のニューヨーク商品取引所（COMEX）で金先物取引の中心である12月限は、前週末比12.5ドル（0.7％）高の1トロイオンス＝1920.1ドルで取引を終えた。
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