【新型コロナ】富士フイルムが続落、メリルが投資判断下げ
・富士フイルムの目標株価、5100円に下げ
・アビガンの業績寄与は一過性との見方
9日の東京株式市場で富士フイルムホールディングス<4901>が大幅に続落。証券大手のメリルリンチ日本証券が投資判断と目標株価を引き下げたことなどが材料になった。一方、富士フイルムは抗インフルエンザ薬「アビガン」の新型コロナウイルス向けの臨床試験を今週、米国で始めると発表した。
富士フイルムのこの日の安値となる前日比406円(7.08%)安の5326円で取引を終えた。これで3日続落となった。
メリルリンチ日本は8日付で、富士フイルムの投資判断を従来の「買い」から「アンダーパフォーム」に2段階引き下げた。アビガンは物質特許が切れていることから業績への寄与は一過性であると分析し、楽観的ケースでも営業利益の押上効果は990億円にとどまるとの見方を示した。また複合機について、テレワークの拡大で中期的な需要縮小リスクが見過ごされているとした。
目標株価も従来の6000円から5100円に引き下げている。
富士フイルムはアビガンの需要増加への期待で、6日に上場来高値となる6420円を付けていた。この水準からこの日の安値までの下落率は17%を超える。
アビガンの原料のマロン酸ジエチルを生産するデンカ<4061>も続落した。終値は130円(4.77%)安の2598円。
富士フイルムの子会社である富士フイルム富山化学は「含窒素複素環カルボキサミド誘導体またはその塩並びにそれらを含有する抗ウイルス剤」に関する特許を保有していた。これはアビガンの有効成分であるファビピラビルを保護する物質特許で、20年の存続期間が2019年8月に満了している。
米でアビガンの新型コロナ向け臨床試験
富士フイルムはこの日、日本に次いで米国で新型コロナウイルスを治療する臨床試験を今週始めると発表した。
インフル薬として製造販売承認を得ている日本では、3月末から富士フイルム富山化学で第3相臨床試験を実施している。未承認の米国では第2相から始め、治療効果と安全性を確認する。
一方、中国政府は3月17日、アビガンの新型コロナウイルスへの有効性を臨床研究で確認したと発表している。
中国・湖北省武漢市と広東省深セン市の病院で計200人の患者を対象に行われた臨床試験は、投与した患者の方が短期間に陽性から陰性になり、肺炎症状なども改善した。中国政府はアビガンを医療現場の治療に使うよう正式に推薦する方針と伝えられた。
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