メキシコペソ、過去最安値が視野に フィッチがジャンク手前まで格下げ
・「トリプルB」から「トリプルBマイナス」に
・ペソ、一時4.4円安割れ
16日の外国為替市場でメキシコペソが対ドル、対円ともに下げ、今月に入り更新した過去最安値が視野に入った。格付け会社フィッチ・レーティングスが日本時間16日朝、メキシコの外貨建て長期債務格付けを投機的(ジャンク)等級の手前まで引き下げたことが、ペソ売りの材料になった。
メキシコペソの対円相場は朝方に4.4円を一時割り込んだ。ただ、その後は円が下げるなかで水準を幾分引き上げ、4.4円台前半で推移している。ペソは今月、4.2円台まで下げ、対円でも過去最安値を更新した。
メキシコペソは対ドルで24ペソ付近。3月下旬に25ペソ台前半まで売られて過去最安値を付けている。
フィッチはメキシコの格付けを「トリプルB」から「トリプルBマイナス」に引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大で、同国経済が2020年に深刻な景気後退(リセッション)に陥るとの見方を理由に挙げた。見通しは「安定的」とした。
フィッチは20年のメキシコの実質経済成長率が少なくともマイナス4%になり、財政赤字が拡大するとみている。
ぺメックス
メキシコは歳入の約20%を石油関連の収入に依存する。石油は同国の基幹産業であるが、その中心企業であるメキシコ石油公社(ペメックス)は多額の債務を抱えている。
フィッチは昨年、ペメックスの長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「ダブルBプラス」とジャンク級に引き下げたが、今月に入り「ダブルB」へともう一段階格下げした。見通しは「ネガティブ」。
フィッチの推定によると、ペメックスが操業費用をカバーするにはメキシコ原油バスケット価格が25ドル超である必要がある。価格がこれより低い場合、キャッシュフローが赤字に陥る。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油などの国際価格の下落を背景に、メキシコ原油バスケット価格はこの日、14ドル台で推移している。
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