パラジウム、需給逼迫続く見通し 中国新車販売急減でも
・1月の中国自動車販売台数18%減
・19年パラジウム需給は37トンの供給不足
貴金属パラジウムが引き続き高値で取引されている。自動車セクターの強い需要で供給が不足していることが背景にある。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で1月の中国の自動車販売台数が急減したが、パラジウムの需給逼迫は続くとの見方が多い。
先物の指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心の2020年3月限の13日終値は前日比28.5ドル(1.23%)高の1トロイオンス=2351.0ドル。その後の時間外取引で日本時間14日正午過ぎに2359.3ドルまで買われた。
先物相場のこれまでの場中高値は1月22日の時間外取引で付けた2427ドル。相場は依然として高値圏にある。
中国汽車工業協会は13日、1月の新車販売台数が前年同月比18.0%減の194万1000台だったと発表した。前年実績を19カ月連続で割り込んだ。春節(旧正月)の大型連休の始まりが19年より早く、多くの販売店が休業だったことが一因。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は1月は限定的だった。
同協会は新型コロナウイルスの自動車産業への影響について「03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時より大きく、通年でも楽観できない」と懸念を表明した。
一方、中国で一部の自動車メーカーが工場の稼働を停止していることについては、パラジウム市場の需給逼迫を解消するまでには至らないとの見方が現時点では大勢を占める。
スタンダード・チャータード銀行のアナリストは、パラジウム需要の一時的な落ち込みはあり得るとするが、中国の自動車生産が28%減少してはじめて市場の需給逼迫が緩むと分析する。
供給不足、5年ぶり高水準
ガソリン車の排ガス浄化触媒に使用されるパラジウムは、中国や欧州の自動車排ガス規制の強化や、15年の排ガス不正処理事件(ディーゼルゲート)以降、欧州で進むディーゼル車からガソリン車へのシフトにより、需要が大幅に増加している。
英精錬大手、ジョンソン・マッセイが12日発表した工業用貴金属の世界需給見通しによると、19年のパラジウム需給は37トンの供給不足に陥り、不足幅は5年ぶりの高水準だった。20年は供給不足が一段と深刻化すると予想している。
また、歴史的に南アフリカのプラチナ鉱山、およびロシアのニッケル鉱山における副産物として産出されるパラジウムは供給の価格弾力性が小さい。鉱山各社は本来の主産物を中心に生産計画を立てているため、生産拡大における柔軟性は期待できないとされる。
世界最大のパラジウム生産会社のロシアのノリリスク・ニッケルが1月29日、パラジウム備蓄から3トンを市場に放出する意向を明らかにしたが、これが相場の上昇を妨げるとはみる向きは少ない。
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