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鮮明となってきたリスク選好相場下での米ドル安

米株に強さが戻ってきました。一方、外為市場では米ドル安圧力が高まっています。一昔前まではリスク選好相場=円安、というトレンドパターンでした。しかし、ドル円の上値の重さを考えるならば、現在はリスク選好相場=米ドル安を意識すべき局面にあります。そうなるとドル円の焦点は?マーケットレポートをご参照ください。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

アフターコロナを見据えているFED

昨日のグローバル株式市場は軒並み上昇した。そのけん引役は米国株式市場である。機関投資家がベンチマークとしているS&P500 指数は昨日、レジスタンスとして意識されていた2,900ポイントの上方ブレイクに成功した。一時90%台まで急騰していたボラティリティ(20日間の標準偏差を年率換算した値)は、41%台まで低下してきた。投資家心理の改善傾向が続く中、外為市場では米ドル安圧力が徐々に高まっている。昨日のFOMCでは、パウエルFRB議長が追加の経済対策について言及した。アフターコロナの経済情勢を見据え、現行の金融緩和強化策を維持するスタンスをあらためて示唆してきた以上、リスク選好相場では今後も米ドル安圧力が高まり易い状況が続こう。

米ドル安 vs 円安

リスク選好相場での外為市場で注目すべきは、米ドル安対円安の戦いである。昨日の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、先進国通貨や新興国通貨を問わず総じて米ドル安の展開となった。対日本円では106.34まで下落する局面が見られた。直近のリスク選好相場の局面でこの戦いを振り返ると、米ドル安の圧力が円安の圧力を凌駕する状況が見られた。コロナ相場以前は総じて円安圧力が米ドル安圧力を凌駕するトレンドパターンが見られたが、現在は真逆の状況へ転じている。この事実は、FEDによる緩和強化策のインパクトの大きさを物語っており、その強化策が続く以上、リスク選好相場でのドル円は下落リスクを警戒すべきフェーズにある。

米ドル相場のパフォーマンス

US dollar 米ドル 騰落率

ドル円の展望

リスク選好相場でじわじわと下落圧力が高まっているドル円だが、一気に105円台を目指すムードはない。他のドルストレートが米ドル優勢となっており、クロス円をサポートする展開となっているからだ。リスクリバーサルも緩やかな上昇トレンドを維持している。だが、テクニカル面では米ドル安を背景に短期レジスタンスラインが形成されている。米株の強さも考えるならば、今日も下値トライを警戒したい。目先は昨日相場をサポートしたリトレースメント50.00%の水準106.44をローソク足の実体ベースで下方ブレイクするかどうか、この点が焦点となろう。このテクニカルポイントを維持する場合は、107円台への再上昇および107.50レベルで推移している短期レジスタンスラインのトライを想定したい。107.10と107.50にはそれぞれオファーが観測されている。一方、106.44レベルを完全に下方ブレイクする展開となれば、リトレースメント61.80%の水準にあたる105.20を視野に下落幅の拡大を警戒したい。106.00および105.50にはそれぞれビッドが観測されている。

ドル円チャート

USDJPU ドル円

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