リスク回避局面での米ドル高vs円高
昨日の主要な欧米株式は総じて下落しました。こういった局面での米ドル買い圧力は未だ健在であることが確認されました。しかし、3月のような米ドル高一辺倒となる可能性は低いと筆者は考えています。その理由とは?今日のドル円の見通しは?マーケットレポートをご参照ください。
リスク回避局面での米ドル買いは健在
現在の外為市場は、パウエルFRB(以下FED)の大規模な資金供給策の導入により、米ドル安圧力が高まり易い環境にある。しかし、リスク回避局面では米ドル買い需要が未だ健在であること、日本円と最強通貨の座を争う展開が今後も続くことを昨日の動向は示唆している。
実際に15日のパフォーマンスを確認すると、米ドルは先進国通貨、新興国通貨を問わず総じて上昇した。特に対オセアニア通貨(対豪ドル:+1.97% / 対NZドル:1.92%)、メキシコペソ(+2.58%)そしてロシアルーブル(+2.44%)で米ドルは上昇した。これら通貨は、リスク選好局面で上昇幅が拡大した通貨である(対米ドル)。それ自体は中国経済に対する懸念の後退を示唆している。しかし、昨日のように米株を含めた主要な株価指数が総じて下落する局面では、世界経済全体の先行き不透明感を意識した米ドル買い需要が未だ根強いことを浮き彫りにした。
米ドル高vs円高
昨日は円高圧力も同時に高まった。しかし、対米ドルのみ小幅ではあるが下落した(マイナス0.26%)。新型コロナウイルスの問題が完全に解決されない限り、今後もリスク回避の局面は来るだろう。その際、昨日や3月のように米ドル買いの圧力が円高の圧力を凌駕する状況が続くのか?筆者の答えはノーである。なぜなら、3月上旬から中旬に発生した米ドル高の局面と現在とでは状況が大きく異なるからである。それは冒頭で述べたFEDによる大規模な資金供給策の導入である。この政策は本質的に米ドル安要因である。故に昨日の日本円の下落幅はマイナス0.26%で抑制されたと考えることができる。
ドル円はレンジの攻防を予想
ドル円は本日も株式にらみの展開が続こう。株高局面では「米ドル安vs円安」、株安局面では「米ドル高vs円高」の展開になっている状況を考えるならば、本日も107円台を中心としたレンジ内での攻防を予想する。上値の焦点は、107.80レベルのトライおよび突破である。昨日のNYタイム序盤に107.84まで上昇する局面が見られた。しかし、ローソク足の実体ベースでの突破には失敗している。107.80を完全に突破する展開となれば108円のトライが次の焦点となろう。108.00上には買いのストップオーダーが観測されている。尚、107.80前後の水準には、先月25日の高値水準111.67を起点とした短期レジスタンスラインが推移している。
一方、下値は106.90-107.00のサポートゾーンを維持できるかどうか、この点が焦点となろう。このゾーンを下方ブレイクする場合、ビッドが観測されている106.50が次の下値ターゲットとなろう。
ドル円チャート
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