アッヴィ(ABBV)、美容治療のアラガン買収のほか、新型コロナウイルス治療薬候補のカレトラの検証効果に注目
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2/7発表の2019/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比4.8%増の87.04億USD、純利益が前年同期の▲18.26億USDから28.01億USDへ黒字転換。Non-GAAPの調整後EPSは同16.3%増の2.21USD。主力の関節リウマチ薬ヒュミラは海外で廉価薬との競争が激しくなる中、米国売上高が同9.8%増と健闘。それに加え、血液抗がん剤のイムブルビカおよび慢性リンパ性白血病治療薬のベンクレクスタの収益の伸びが増収増益に寄与。調整後の営業利益率は同2.9%ポイント上昇の44.6%となった。
製品セグメント別の売上高は以下の通り。①免疫学は前年同期比5.0%増の51.66億USD。内訳はヒュミラが同横ばいの49.17億USD、2019年に上市したスキリージとリンボクが各々2.16億USDと3,300万USD。②血液がん・腫瘍は同37.0%増の15.47億USD。内訳はイムブルビカが同28.9%増の12.96億USD、ベンクレスタが同2.0倍の2.51億USD。③HCV(慢性C型肝炎ウイルス)は同26.7%減の6.32億USD。内訳はマヴィレットが同23.4%減の6.28億USD、ヴィエキラが同89.1%減の400万USD。④その他の治療薬は同3.8%減の12.86億USDだった。
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2020/12通期会社計画は、EPSが7.66-7.76USD(仲値が前期比46.0%増)、Non-GAAPの調整後EPSが9.61-9.71USD(仲値が同8.1%増)。主力のヒュミラが2023年に米国市場で特許切れを控えることが経営課題となる中、しわ取りなどの美容治療薬の「ボトックス」などを販売するアラガン(AGN)の買収(約630億USDの買収費用)を1Q(1-3月)に完了予定。免疫学で順調に立ち上がったスキリージとリンボクの収益の伸びが期待されよう。同社がHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染薬として開発した「カレトラ」は日本では2000年にHIV感染症の薬剤として承認されており、新型コロナウイルス感染治療の症例に最も多く使用されている。2/28時点では中国の臨床データ上は効果が確認できなかったものの、日本政府はエボラ出血熱の治療薬「レムデジビル」、抗インフルエンザ薬「アビガン」とともに治療薬候補として検証中であり、結果が待たれよう。2020/12通期の市場予想は、売上高が前期比8.1%増の359.55億USD、当期利益が同58.9%増の125.23億USD。
終値(USD) 91.75 2020/3/4
会社概要
2012年にアボット・ラボラトリーズ(ABT)の新薬事業部門を分離・独立し、設立された医薬品メーカー。同社の従業員は75ヵ国以上に跨って医薬品の研究・開発に従事し、免疫学、慢性腎疾患、C型肝炎、婦人病、腫瘍、および神経系疾患など特殊治療を擁する分野の医薬品を手掛ける。
同社の製品別セグメントは、免疫学(イミュノロジー)、血液がん・腫瘍(ヘマトロジック・オンコロジー)、HCV(慢性C型肝炎ウイルス)、その他主要治療薬の4分野から構成される。①免疫学では、関節リウマチ薬のヒュミラ、乾癬性関節炎薬のスキリージやリンボクが含まれる。②血液がん・腫瘍では、抗悪性血液がん・腫瘍剤のイムブルニカ、および慢性リンパ性白血病治療薬のベンクレクスタがある。③HCV治療薬では、マヴィレットやヴィエキラがあり、④その他治療薬には、クレオン、ルプロン、シンソロイド、シナジス、デュオドーパなどがある。
企業データ(2020/3/5)
ベータ値 1.08
時価総額(百万USD) 135,713
企業価値=EV(百万USD) 162,877
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 809.0
1.VANGUARD GROUP 8.29
2.ブラックロック6.19
3.CAPITAL GROUP COMPANIES INC 4.60
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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