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ボーイング (BA)、2四半期連続で債務超過に陥るも防衛・宇宙関連の受注が好調。ポストコロナの航空需要拡大を期待

ニューヨーク| 航空機・部品| 業績フォロー
BLOOMBERG BA:US | REUTERS BA.N

Source: Bloomberg
  • 2020/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比26.2%減の169.1億USDとなり、純利益が▲6.41億USDと2四半期連続で最終赤字。
  • 自社株買いなど積極的な株主還元策が響き、2019年末の債務超過額が83億USDに達した。1Qのフリーキャッシュフロー(FCF)が▲47.3億USDと悪化し、1Qの債務超過額が93.6億USDに拡大。
  • 防衛・宇宙航空分野は景気変動に左右されにくく、足元の受注が好調。ポストコロナの航空需要の回復を取り込める公算は大きい。

What is the news?

2020/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比26.2%減の169.1億USD、純利益が前年同期の21.49億USDから▲6.41億USDへ赤字転落。民間機部門は、737MAX製造の一時停止に伴うコスト増加が7.77億USDに上るほか、次世代737ピクルフォークの修理コスト3.36億USDなどが嵩んで、営業利益率が9.9%から▲33.3%へ悪化。防衛・宇宙部門も税引前費用が8.27億USDに上ったことが響き、営業利益率が12.9%から▲3.2%に悪化した。税還付額が8.62億USDに及んだものの、2四半期連続の最終赤字となった。

2019/12期に737MAXが運航停止となり通期で▲6.36億USDの赤字となるなか、自社株買い26.51億USD、配当金支払い46.3億USDといった積極的な株主還元策を実施したことが響き、2019年末の債務超過額が83億USDに達した。続く1Qのフリーキャッシュフロー(FCF)が前年同期の22.87億USDから▲47.30億USDと悪化し、1Q末の債務超過額が93.6億USDに拡大。

How do we view this?

コロナ禍の影響が不透明であることから同社は2020/12通期の見通しを見送った。経営再建に向けて全従業員約16万人の約10%の年内の人員削減策を取りまとめたほか、米当局への支援要請を見送り自力で250億USDの社債調達を実施。資金面の不安は遠のきつつある。米国では債務超過であってもFCFの黒字が続く見通しなら経営危機に直結しない傾向が見られる。FCFの早期黒字化達成が焦点となろう。

また、5/13に米海軍からサウジアラビア向けFMS(有償軍事供与)用の巡行ミサイル650発と対艦ミサイル467発を受注するなど防衛関連が好調な模様。政府サービス、防衛、宇宙の2019/12通期の売上高に占めるウェートが45%と大きく、景気変動やコロナ禍に左右されにくい防衛・宇宙関連の受注拡大が期待される。また、日本航空機開発協会の予測によれば、民間機の運航機数は2018年末の23,904機から2038年末には40,301機に増加し、退役機の更新需要も含め20年間の新規納入機数は35,312機(市場規模は5.53兆USD)。ジェットエンジンも80,764機(同1.35兆USD)に上る。ポストコロナに訪れる航空機需要の拡大をエ アバス社と共に、同社が引き続き航空市場を寡占できると見られよう。

配当予想(USD) 2.01 (予想はBloomberg)
終値(USD) 230.50  2020/6/8

会社概要
1917年に創業。民間航空機と防衛・宇宙・セキュリティシステムを製造し、アフターマーケットサービスを提供する世界最大の企業である。民間航空機、防衛・軍用機、電子・防衛システム、衛星、衛星打ち上げ機、高度情報通信システム、成果報酬型のロジスティクスとトレーニングなど、幅広い製品とサービスを世界150カ国以上に提供し、売上高では米国最大の輸出企業の一社である。本社は米国イリノイ州シカゴにあり、従業員数は米国内と世界65カ国以上に14万5,000人。
ボーイングには民間航空機、防衛・宇宙・セキュリティ、ボーイング・グローバル・サービスの3つの主要事業部門がある。主要部門をサポートするのが、世界的な金融サービスプロバイダーであるボーイング・キャピタル・コーポレーションである。ほかにも、全部門にわたる機能型組織があり、それぞれエンジニアリングとプログラムマネジメント、技術開発プログラムの遂行、高度設計製造システム、安全・融資・品質・生産性の向上、情報技術などに注力している。

企業データ(2020/6/9)
ベータ値 2.06
時価総額(百万USD) 130,077
企業価値=EV(百万USD) 153,782
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 5,759.4

主要株主(2020/6) (%)
1.CAPITAL GROUP COMPANIES INC 8.04
2.VANGUARD GROUP 7.40
3.ブラックロック 5.89

(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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