為替介入が意識されるなかでも根強い円安 ドル円の焦点は160円の再トライ
当座預金残高の見通しから、4月29日に政府・日銀が円買い介入を行った可能性が指摘されている。しかし、為替介入の有無にかかわらず根強い円安のトレンドは続く可能性が高い。今日のドル円(USD/JPY)の見通しは?注目のチャートポイントは?
サマリー
・ドル円は158円を視野に反発、為替介入の可能性が意識されても上昇トレンドを維持
・今日の米国イベントがドル高要因ならば、ドル円の焦点は160円の再トライとなろう
・円買い介入以外でドル円が反落しても、その幅は限定的となろう
・反落局面では、5日線と10日線、そして短期サポートラインの維持が焦点となろう
時間稼ぎの為替介入
日銀が30日に公表した5月1日の当座預金残高(財政等要因)の見通しから、先月29日の外為市場で日本の通貨当局が円買い介入を実施した可能性が高いことが明らかになった。推定される為替介入の規模は約5兆円。過去最大となった22年10月21日の5兆6202億円に迫る規模となる。
しかし、昨日のドル円(USD/JPY)の動きを確認すると、158円を視野に上昇トレンドを維持した。そしてG10通貨のなかでは、対米ドルで最も円安が進行した(下のパフォーマンスチャートを参照)。
またこの日は、ユーロ円(EUR/JPY)やポンド円(GBP/JPY)といった主要なクロス円でも円安優勢の展開となった。
先月29日の円高が為替介入によるものだったとしても(その可能性は高い)、そして今後為替介入が続くとしても、それが時間稼ぎにしかならないことを昨日の主要通貨ペアの動き(円安)が示唆している。
円相場の動向:4月30日
上昇トレンドを維持、まずは158円台の攻防に注目
今日のドル円(USD/JPY)は、こちらのIG為替レポートで取り上げた米国の雇用指標とFOMC後のパウエルFRB議長の会見内容で上下に振れる展開が予想される。
後者のパウエル会見が “タカ派” の内容となる可能性があること、そして158円に向けてドル円が上昇トレンドを維持している状況も考えるならば、今日も上値のトライを意識したい。
目先の焦点は、158.00レベルの攻防となろう。下のチャートを見ると、158.00レベルは先月29日の高安で算出されるフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。
ドル円がこの水準(158.00レベル)を難なく突破する場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準158.86を視野に上昇幅の拡大を想定しておきたい。
上のテクニカルポイントをドル円がトライする局面で、ストキャスティクスとRSIが買われ過ぎの水準に到達している時は、ドル円の反落を想定しておきたい。
しかし、今の外為市場では米ドル高のムードが再び高まりつつある。根強い円売りが続いている状況も考えるならば、円買い介入以外でドル円が下落しても、その幅は限定的となろう。
ドル円の反落局面では、今日現在157.10台で推移している5日線で反発するかどうか?まずはこの点を確認したい(一番下の日足チャート、青ラインを参照)。
ドル円が5日線を下方ブレイクしても、今日現在156.00付近まで上昇している10日線(一番下の日足チャート、緑ラインを参照)、そして短期サポートラインが控えている。
円買い介入以外での反落局面でこれらテクニカルラインを維持する場合は、ドル円の上値トライを意識する状況が続くだろう。
ドル円のチャート:15分足 4月29日以降の動向
160円の再トライ、ボラティリティの拡大を警戒
根強い円売りが続くなか、今日の米国イベント(雇用指標とパウエルFRB議長の会見)が米ドル高の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は、上で述べた158円台の攻防を制することが予想される。
ドル円がフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準158.86レベルを難なく上方ブレイクする場合は159.00そして節目の160.00と、1円レンジで上値の水準を見極めることになろう。
今はドル円の変動幅が拡大しやすい状況にある。ゆえに今日の米国イベントそして今週3日の4月雇用統計が米金利の上昇要因となる場合、その動向次第でドル円は、一気に160.00の水準を再トライする可能性が高まろう。
しかし、現在は先月29日の急速な円高を受け、ドル円の防衛ラインとして160.00が意識されやすい状況にある。ゆえにドル円が160.00の水準を目指す局面では、円買い介入やその警戒感による不意打ちのような円高を警戒しておきたい。
一方、為替介入の可能性が意識されながらもドル円が一気に160円の攻防へシフトする場合は、IG為替レポートで注目しているE計算値の水準161.51レベルを視野に上昇幅の拡大を予想する(下のチャート、緑ラインを参照)。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
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