コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

慎重姿勢を維持する日銀、今週は米国の小売売上高、PMI速報値、FRB高官の言動に注目

日米の中銀イベントを通過し、次はアメリカの経済指標とFRB高官の発言が市場の変動要因となろう。米金利が低下基調へ転じても、外為市場では米ドル高優勢の状況にある。今週のドル円(USD/JPY)の展望は?注目のチャート水準は?

※ドル円の週間展望については、こちらのIG為替レポートをご覧ください


この記事のポイント

・日銀による7月利上げの観測が後退
・海外中銀の慎重な姿勢も考えるならば、円安を意識する状況が続くだろう
・今週の注目材料は米国の小売売上高、PMI速報値そしてFRB高官らの発言となろう
・外為市場は米ドル高優勢の状況に、経済指標次第ではこの動きが進行するだろう


日銀会合、植田総裁の言動、円相場の反応

日銀は先週14日の金融政策決定会合で、国債の買い入れ規模を減額する方針を決めた。次回7月の会合で、今後1年から2年程度の計画案を示すとした。

植田和男日銀総裁は会合の後、定例会見に出席した。減額案については市場参加者の意見も確認しながら「相応の規模」になること、そして国債買い入れの柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額すると述べた。

また、減額と追加の利上げを同時に行う可能性については、さまざまなデータを確認する必要があり、その上で追加利上げの判断をすると述べた。

日銀会合の結果を受け、外為市場は円安へ振れる局面が見られた。しかし、記者の質問に対して言葉を選びながら丁寧に対応した植田総裁の姿勢を受け、過度に円安が進行することはなかった。

14日の円相場は、主要通貨で売り買いが交錯した(下のパフォーマンスチャートを参照)。

円相場の動向:6月14日

円相場の動向:6月14日 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

日銀の追加利上げ観測が後退、利下げに慎重な海外の主要中銀

日銀のハイパワードマネー(ベースマネー)の推移を確認すると、22年以降は上下に振れながらも、伸びが抑制されていることが分かる。この点は、前年比のトレンドも示唆している。

日銀 ハイパワードマネーの推移:2012年以降

日銀 ハイパワードマネーの推移:2012年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


しかし22年以降、外為市場では円安が進行している。ドル円(USD/JPY)は4月29日の市場で、約34年ぶりに160円台へ上昇する局面が見られた(円安が進行した)。

主要なクロス円でも円安が進行している。対英ポンドでは201円台と、約16年ぶりの水準まで下落している。対ユーロでは、4月29日の市場で1ユーロ=171円台へ下落し、1999年の単一通貨としての取引開始後、最安値を更新する局面が見られた。

国債購入の減額は量的引き締め(QT)の効果が期待される。しかしハイパワードマネーの伸びが抑制される状況にあっても根強く円安が続いている状況を考えるならば、7月会合で具体的な国債購入の減額案が示されても、短期的にそれが円安圧力を後退させる可能性は低い。国債購入の減額が円相場に与える影響は、追加利上げとセットで中長期のスパンで考える必要があろう。

その追加利上げだが、国債購入の減額という新たなテーマが浮上したことで、7月会合での追加利上げ確率が40%台へ低下している。

一方、海外中銀は利下げについて慎重な姿勢にある。米連邦準備制度理事会(FRB)や英中銀(BOE)は追加のデータで判断する姿勢を示している。欧州中央銀行(ECB)は連続利下げに対して慎重な姿勢にある。

今週に政策会合を開く豪準備銀行(RBA)、そしてスイスやノルウェーの中銀はいずれも政策金利を据え置く見通しである。

植田総裁は国債購入の減額と追加利上げを同時に決定する可能性について言及した。しかし、現時点でその可能性は低いとみている国内の短期金融市場の状況や海外中銀の慎重な姿勢を考えるならば、引き続き円安優勢の展開を想定しておきたい。


今週の注目材料

5月のアメリカ小売売上高

今週の円相場、特にドル円(USD/JPY)のトレンドに大きな影響を与える可能性があるのが、米国の経済指標とFRB高官の言動となろう。

前者の経済指標では、18日の5月小売売上高が材料視される可能性がある。4月はガソリン価格の高騰で他の商品への支出が減少し、個人消費が鈍化した。しかし、5月は回復する見込みである(下のチャートを参照)。

米国 小売売上高の動向:23年5月以降

米国 小売売上の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


6月のアメリカ購買担当者景気指数(PMI)速報値

21日の6月購買担当者景気指数(PMI)速報値も材料視される可能性がある。現時点での市場予想は、製造業とサービス業の景況感が5月から若干ながら落ち込む見通しとなっている。

5月の物価指数でインフレが鈍化の傾向にあることが確認されたことで米債市場は現在、利回りが低下のトレンドにある。

この状況で小売売上高とPMI速報値がともに市場予想を下回る場合は景気の先行き懸念も重なり、米金利にはさらに低下の圧力が高まる展開が予想される。

「米金利の低下→米ドル高圧力の後退」の展開は、ドル円(USD/JPY)の上昇を抑制する要因となろう。

一方、強い経済指標は「米金利の反発→米ドル高の進行」の要因となろう。ドル円は158円台へしっかりと上昇する展開が予想される。

※今週のドル円の展望については、こちらのIG為替レポートを参照

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:23年5月以降

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤ドット:6月の市場予想


FRB高官の言動

5月の物価指数(CPIとPPI)は、アメリカのインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した。

一方、6月のドットチャート(連邦公開市場委員会の参加者による政策金利の予想)では、24年末の予想中央値が5.1%へ上方修正された(3月予想は4.6%)。この見通しが正しければ、今年の利下げ回数は1回にとどまる。

しかし、6月のドットチャートは、5月CPIのデータが考慮されていない可能性が高い(日程的に5月PPIは考慮されていない)。

一方、新たな情報を反映する短期金融市場では物価指数の鈍化が意識され、9月と12月の利下げを意識する状況にある。

今週はFRB理事のクック氏やクーグラー氏、ニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁の他、24年の投票権を持つリッチモンド地区連銀のバーキン総裁らが講演やイベントに出席する。

焦点は、インフレについての言及である。5月物価指数の鈍化を受け、インフレ見通しについてどのような見解を示すのか?この点に注目したい。

物価指数の鈍化を考慮し、インフレが目標の2%向かって低下するとの見通しを示す言動が多く確認される場合は、米ドル高を抑制する要因になり得る。

一方、インフレ再燃を避けるためにはさらなるデータが必要であり、利下げについても慎重な発言が相次ぐ場合、外為市場では米ドル高優勢の状況が続くだろう。

なお、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は16日にCBSの番組に出演し、「インフレ率が2%へ向かって低下していると確信するためには、もっと多くの証拠が必要」と述べ、利下げ開始については慎重姿勢を維持した。

米連邦準備制度理事会(FRB)高官の主なイベント・講演の予定

米連邦準備制度理事会(FRB)高官の主なイベント・講演の予定 ブルームバーグより筆者が作成

金利低下でもじわりと高まる米ドル高のムード

米金利が低下しても、米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)はむしろ上昇している。

日足チャートで直近のトレンドを確認すると、先週14日の市場では5月9日の高値105.74レベルを突破する局面が見られた(下のチャート、赤矢印を参照)。

105.74ポイントをブレイクする過程では、104.00ポイントが新たなサポート水準となり、21日線と50日線を難なく上方ブレイクしている。

また、先週13日と14日の動向を詳しく見ると、上2つの移動平均線が相場をサポートしていることが分かる。テクニカルの面でも、米ドル高の圧力が再び高まっていることを示唆している。

この状況で、5月の小売売上高や6月のPMI速報値が米国経済の底堅さを示唆する場合は、「米金利の反発→米ドル高の進行」が予想される。

ドル指数のチャート:日足 23年12月以降

ドル指数のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。