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英ポンド相場を取り巻く状況と目先の展望

英国下院はEU離脱関連法案を可決。事実上英国がEUから離脱することが確定しました。今後の焦点は「移行期間リスク」とBoEの動向となるでしょう。昨日のカーニー発言を考えるならば、目先の英ポンド相場は対米ドルで軟調地合いが予想されます。その際の下値ポイントは?詳細はマーケットレポートをご参照ください。

Source : Bloomberg Source : Bloomberg

英ポンド相場を取り巻く状況と目先の展望

9日の米国株式は中東リスクの後退を背景に続伸。他の主要な株価指数も軒並み上昇した。リスク選好相場を受け、外為市場では円売りが継続。リスク選好の先導役である米株が崩れない限りこの状況は続こう。
通貨安という観点で考えるならば、目先は英ポンド安も意識したい。英国の議会下院は9日、同国が欧州連合(EU)から離脱するための関連法案を可決した(賛成330 / 反対231)。近く上院でも承認され成立する見通しであることを考えるならば、今月末のEU離脱が事実上確定した。だが、これ自体は予想されていたことであり、英ポンド相場にとって下落要因とはならないだろう。今後、ブレグジットリスクに絡む英ポンド相場の下落要因として注目すべきは「移行期間リスク」である。2020年末までの移行期間中(11ヶ月の間)に棚上げにされている諸問題の解決、特に通商交渉で妥結できるかどうか、この点が焦点となるだろう。通常、数年かけて妥協点を探る通商交渉をたった11ヶ月でまとめることは困難であり、実際、EUサイドからは年内の妥結に否定的な見解が示されている。もし移行期間中にこの問題が解決出来ない場合、「ハードブレグジット」のリスクが再浮上しよう。現在の経済状況に加え将来のリスクも考慮してか、カーニーBoE総裁は昨日、あらゆる政策手段を講じて対策を打つと述べた。この発言により英ポンド相場は下落。対米ドルでは再び節目の1.30を視野に下落トレンドを描いている。中銀トップが緩和スタンスを鮮明にしてきた以上、目先の英ポンド相場は下値のポイントを探る展開を予想する。

ポンドドルのチャートポイント

対米ドルレートでのサポートポイントを考える上で重要となるのが、昨年12月後半の調整局面である。この時は1.2900がサポートポイントとして意識された。リスクリバーサル(1週間 / 1ヶ月)の動向に大きな変化が見られないこと、そしてインプライド・ボラティリティ(1週間 / 1ヶ月)が6%台まで低下している状況も考えるならば、下値トライとなっても昨年8月までのように下落一辺倒で推移する可能性は低いだろう。米金融当局による資金供給が続いていること(米ドル安要因)も考えるならば、目先は1.2900の維持が焦点となろう。
1.29台を下方ブレイクする場合、次の焦点は重要サポートポイント1.2800の維持が焦点となろう。この水準は昨年10月下旬以降、英ポンド相場をサポートし続けてきた経緯がある。1.1957(9/3安値)を起点とした短期サポートラインがクロスしている状況やそのサポートラインと並行して推移している89日MA(今日現在1.2818レベル)の存在も考えるならば、1.28はテクニカル面でも重要なサポートポイントの候補である。1.2900および1.2800にはそれぞれビッドが観測されている。
一方、上値の焦点は、昨年12月31日から今年1月2日にかけて上値をレジストし続けた1.3300の突破である。

ポンドドルのチャートポイント①:リスクリバーサル

GBPUSD ポンドドル リスクリバーサル テクニカル

ポンドドルのチャートポイント②:インプライド・ボラティリティ

GBPUSD ポンドドル インプライド・ボラティリティ テクニカル

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