新たなリスク要因としての人民元基準値
今週に入り中国人民下のレートにリスクセンチメントが揺れ動いています。米中の戦場領域が従来の貿易から為替市場へ拡大したことで、今後は人民元の基準値や為替に関するトランプ発言により注視する必要があるでしょう。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・新たなリスク要因としての人民元基準値
6日は米中対立懸念の後退を受け、米国株式市場では主要3指数が反発した。懸念が後退した要因は人民元の取引目安となる基準値(対米ドル)だった。中国当局は6日にその基準値をオフショアで取引されているレートよりも元高水準で設定したことで、米中対立がさらに激化するとの懸念が株式市場を中心に後退した。だが、「1米ドル=7.0元」の攻防分岐をあっさりと上方ブレイクした事実(=中国指導部が上方ブレイクを容認した事実)は、米中の戦場領域が従来の貿易から為替市場へ拡大したことを意味する。対米報復に加え内需が低迷している現状も考えるならば、中国サイドは人民元の水準をできるだけ切り下げることで内需の低迷を輸出でカバーしなければならい状況にある。よって、今後は人民元の基準値(対米ドル)が新たなリスク要因として意識されるフェーズへシフトしたと言えよう。トランプ米政権サイドは1994年以来、約25年ぶりに中国を為替操作国に指定した。矢継ぎ早に対中政策を繰り出すトランプ米政権に人民元安で対抗する場合、グローバル株式市場はリスク回避優勢の展開となろう。この局面での外為市場は「円高/新興国通貨安」の展開を予想する。一方、昨日のように中国当局が人民元の基準値を前日のレートやオフショアで取引されているレートより元高水準で設定する場合、グローバル株式市場は堅調に推移しよう。このケースでの外為市場は米金利の動向でトレンドが決定されよう。「株高/米金利上昇」の局面では米ドル高、「株高/米金利低下」の局面では新興国通貨高の展開を予想する。
尚、本日はNZ準備銀行(RBNZ)が金融政策会合を開催する。0.25%の利下げはすでに織り込み済み。よって、焦点はRBNZが示す今後の金融政策スタンスにあろう。米中対立が再び激化しているタイミングで追加の利下げに積極的なスタンスを示す場合、NZドルは対米ドルと日本円で下落する展開を予想する。
【米ドル/人民元】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は上値の重い展開を予想する。米中対立リスクの一時的な後退を受け6日の米株は反発したが、米金利は1.7%台での低空飛行が続いている。米金利が上昇しない限り、株高のみのリスク選好ではドル円の上昇幅は限定的となろう。上値の焦点はオファーが観測されている107.10の攻防である。昨日はこの水準手前でレジストされた。107.10を完全に上方ブレイクする展開となれば、107.56(8/2高値)を次の上値ターゲットと予想する。107.50にもオファーの観測あり。一方、下値の焦点は105.50の維持となろう。この水準にはビッドが観測されている。
ユーロドルは引き続き米金利にらみの展開が続こう。米金利低下の局面では1.1280レベルの突破が焦点となろう。1.1260以上から1.1300にかけては断続的にオファーが並んでいる。一方、米金利反発のケースでは1.1166(8/6安値)および10日MA(1.1143前後)の維持が焦点となろう。1.1150にはビッドが観測されている。
【ドル円】
【ユーロドル】
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