米ドル安のトレンドを意識する展開は続く / ドル円とユーロドルのチャートポイント

米ドル安のトレンドを意識する展開は続く

米大統領選挙で勝利を確実にした民主党のジョー・バイデン候補は7日夜、地元の東部デラウェア州で勝利宣言をした。これにより大統領選挙の混乱はひとまず収束するだろう。政治の安定は米株にとってポジティブ要因である。

上下両院の改選では、上院で共和党が過半数を確保する可能性がある。

一方、下院では民主党が過半数を確保する見通しではあるものの、改選前より議席数を減らすことが確実な情勢となっている。

巨額の財政出動を志向する民主党の圧勝シナリオが崩れたことで、今後米金利の上昇は抑制される可能性がある。これは米ドル安の要因である。

また、他の米ドル安要因として注目したいのが新財務長官の人事である。

米連邦準備理事会（FRB）のラエル・ブレイナード理事が新財務長官に就任する可能性があるとの報道がある。ハト派で知られるブレイナード氏が就任すれば、金融緩和政策の長期化を志向するパウエルFRBと共同歩調を取るだろう。

混乱した政治の収束、過度な財政出動の抑制、そして金融政策のツートップがハト派となる可能性があることを考えるならば、外為市場では米ドル安のトレンドを意識する展開が続くと予想する。

ドル円のチャートポイント

米ドル安の加速により、ドル円は重要サポートポイントだった104.00を完全に下方ブレイクする展開となっている。

104円台を一度もトライする状況が見られないことも考えるならば、今週はさらなる下値トライを警戒したい。

目先の焦点は103円台の維持だが、米金利の上昇が抑制される可能性と過去の経緯を考えるならば、筆者は102円の維持が重要な焦点と想定している。

過去の経緯とは、今年3月のコロナショックである。

3月9日に示現した大陰線の終値は102.34だった。また、3月10日に示現した大陽線の安値は101.99だった。この時はグローバル市場が大荒れとなったが、そのような状況の中でも102円がサポートポイントとして意識された経緯がある。

またテクニカル面では、102.10レベルがフィボナッチ・プロジェクション61.80％の水準にあたる。このテクニカルポイントは、2015年以降、何度かあった大相場を考慮した水準である。

一方、上値の焦点は、104.00レベルがサポートポイントからレジスタンスポイントへ転換するかどうか？この点を確認することにある。レジスタンスポイントへの転換は、102円台下落のシグナルとして想定したい。

なお、104.00には早くもオファーが観測されて始めている。

ドル円のチャート①

ユーロドルのチャートポイント

ユーロドルは、9月1日の高値1.2011を起点とした短期レジスタンスラインの突破に成功し、且つ9月と10月のユーロ高を抑制した1.1880レベルを突破してきた。

これらの状況を考えるならば、今日は1.19台への上昇を意識する展開となろう。

1.19台へしっかり乗せてくる展開となれば、節目の1.20トライが焦点として浮上しよう。この水準はフィボナッチ・プロジェクション61.80％の水準にあたる。このテクニカルポイントは、9月のユーロ高を見事に抑制した経緯がある

1.20にオファーが観測されていることも考えるならば、さらなる上値追いには1.20の上方ブレイクを確認する必要があろう。

一方、下値の焦点は6日の安値1.1793レベル（1.18台）の維持となろう。

ユーロドルのチャート