イーライ・リリー(LLY)、成人関節リウマチ治療薬のオルミエントや試験中の新薬の新型コロナウイルス感染症治療への貢献に期待
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- 2020/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比15.1%増、営業利益が同2.5倍、純利益が同65.7%減、調整後EPSが同31.6%増だった。
- 外出規制を受けてトルリシティなどの薬剤買いだめが起きたことや利益率の改善が業績向上に寄与した。
- 成人関節リウマチ治療薬のオルミエント、および試験段階にある新薬の新型コロナウイルス感染症治療への貢献が期待されよう。
What is the news?
4/23発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比15.1%増の58.59億USD、営業利益が同2.5倍の15.90億USD、純利益が同65.7%減の14.56億USD。純利益の減益は前年同期に計上したエランコ・アニマル・ヘルス(ELAN)の事業分離に係る特別利益の反動減によるものであり、一時的要因の影響を除いたNon-GAAPの調整後EPSは同31.6%増の1.75USDだった。新型コロナウイルス感染拡大を受けて外出規制が敷かれるなか、主力の2型糖尿病治療薬トルリシティなどの薬剤買いだめが起きたこと、および粗利益率が同1.7%ポイント上昇の79.3%となるなど利益率が改善したことが業績向上に寄与した。
製品別の売上高は、トルリシティが前年同期比40%増の12.29億USD、アリムタが同12%増の5.60億USD、タルツが同76%増の4.43億USD、ヒューマリンが同6%増の3.15億USD、バサグラーが同21%増の3.03億USD、ジャディアンスが同31%増の2.67億USD、サイザムラが同21%増の2.39億USD、サインバルタが同28%増の2.10億USD、ベージニオが同72%増の1.88億USD、オルミエントが同70%増の1.39億USD、エムガリティが同5.2倍の7,400万USD、タイビートが同5.8倍の5,740万USD、バクシミが1,780万USD(前年同期は販売せず)だった一方、ヒューマログが同5%減の6.95億USD、フォルテオが同13%減の2.72億USDだった。
How do we view this?
2020/12通期の会社計画を上方修正。新型コロナウイルスの影響の不確実性は残るとしながらも売上高(237-242億USD)と粗利率(79%)は従来計画を据え置き、調整後EPSを6.70-6.90USD(従来計画:6.70-6.80USD)とした。同社は65ヵ国以上で成人関節リウマチの治療薬として承認済みのオルミエントにつき、抗炎症作用の新型コロナウイルス感染症への効果を確認するため入院患者を対象とした臨床試験を米国で開始。また、試験段階にある新薬(抗Ang2抗体)につき、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症リスクが高い新型コロナウイルス感染症の肺炎患者を対象とした第2相試験を開始することも発表。新型コロナウイルス感染症治療への貢献が期待されよう。2020/12通期の市場予想は、売上高が前期比7.3%増の239.53億USD、純利益が同30.6%減の57.75億USD。
配当予想(USD) 2.97 (予想はBloomberg)
終値(USD) 161.29 2020/4/27
会社概要
1876年に創業。1923年に世界で初めてインスリンの製剤としての実用化に成功した。医薬品の発見・開発・製造・販売を手掛けており、世界各地で事業を展開する。製造・流通は米国やプエルトリコ、その他13か国で、販売は約125か国にまたがる。動物用ヘルスケア製品を取り扱っていた同社傘下のエランコ・アニマル・ヘルス(ELAN)を2019年に分離独立させた。
同社製品は、2型糖尿病治療剤のトルリシティ、インスリン製剤のヒューマログやバサグラー、糖尿病治療薬のヒューマリンやジャディアンス、抗がん剤のアリムタ、サイラムザ、およびベージニオ、乾癬治療薬のタルツ、骨粗鬆症治療薬のフォルテオ、抗うつ薬のサインバルタ、関節リウマチ治療薬のオルミエント、片頭痛の予防治療のエムガリティ、ホジキン病治療薬のタイビート、および経鼻グルカゴン製剤のバクシミなどである。
企業データ(2020/4/28)
ベータ値 0.79
時価総額(百万USD) 154,361
企業価値=EV(百万USD) 167,940
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 672.3
主要株主(2020/4) (%)
1.LILLY ENDOWMENT INCORPORATED 11.72
2.VANGUARD GROUP 7.41
3.ブラックロック6.36
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
本レポートの発行元:フィリップ証券株式会社〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
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