ボラティリティから考える欧州通貨のチャートポイント

低下傾向を辿る欧州通貨のボラティリティ

欧州通貨のインプライド・ボラティリティが低下基調を辿り続けている。ユーロドルのそれは1週間、1ヶ月ともに3％台の水準へと低下中。ボラティリティの変動要因として今週注視すべきは、23日のECB理事会である。焦点はラガルドECBの金融政策スタンスだが、「戦略の点検」が緩和スタンスからの脱却と市場で受け止められる場合、ユーロドルは上昇しよう。だが、ECB理事会を受け多少ボラティリティが拡大しても、現在の低下基調を考えるならば、現時点で1.12レベルを一気に突破する可能性は低いだろう。21日MA（1.1137レベル）の突破には成功しても1.180レベルで反落する展開を意識したい。1.1140、1.1150および1.1180にはそれぞれオファーが観測されている。
一方、下値トライが続く場合は、1.0877（昨年10/1安値）を起点とした短期サポートラインの攻防が焦点となろう。このラインは今日現在、1.1065レベルで推移している。だが、低ボラティリティの状況を考えるならば、1.10を下方ブレイクするような下落幅拡大の可能性は低いと予想する。

ユーロドルのチャート

一方、ポンドドルも1週間のそれが5％台へ、1ヶ月のそれが6％を割り込むかどうかの水準まで低下している。今月末のEU離脱が迫り、且つイングランド中央銀行（BoE）は30日の金融政策会合で0.25％の利下げを行う可能性がある（レポート執筆時点での利下げの可能性は64.4％）。これまでならば英ポンド売り圧力が高まることで、インプライド・ボラティリティも上昇するというのがパターンだった。しかし現在の低ボラティリティ基調の状況は、もはやEU離脱がリスクイベントとして意識されていないことを示唆している。この点は、横ばいで推移しているリスクリバーサルも示唆している。利下げを意識した英ポンド売りは散見されるだろうが、サポートポイントの1.29前後、もしくは89日MAと短期サポートラインが推移している1.28ミドル前後での押し目買いによりサポートされる展開を予想する。これらテクニカルポイントを下方ブレイクしても、重要サポートポイント1.2800を完全に下方ブレイクし無い限り、インプライド・ボラティリティが再び拡大する可能性は低いと予想する。

ポンドドルのチャート