対照的な欧州通貨と新興国通貨
欧州通貨は調整相場となっています。目先の焦点は、新たなサポートポイントの水準を見極めることにあります。一方、新興国通貨は12月以降、堅調地合いを維持しています。年内はこの状況が続くと予想します。詳細はマーケットレポートをご参照ください。
・調整相場の欧州通貨
今月16日以降、英ポンド相場には調整圧力が高まっている。特に今年9月から10%以上上昇する局面が見られたポンドドルは1.31台を下方ブレイクし、節目の1.30を視野に下落幅が拡大している。対米ドルでの下落に連動し、ポンドクロスも総じてマイナス圏へ低下している(=英ポンド安へ転じている)。ユーロも同じく反発圧力が後退している。今日現在、対先進国通貨でプラス圏(=ユーロ高)を維持しているのはユーロドルとユーロ円のみ。新興国通貨ではトルコリラと中国人民元に対してのみプラス圏(=ユーロ高)を維持している。目先、欧州通貨の焦点は、新たな下値ポイントを見極めることにあろう。インプライド・ボラティリティ(対米ドル、1週間および1ヶ月)を確認すると、英ポンドのそれは再び低下基調へ転じている。一方、ユーロのそれも低空飛行状態を維持している。海外勢がクリスマス休暇へ入るタイミングも考えるならば、年内に大きく動く可能性は低い。ポンドドルは1.30もしくは1.28の水準を維持できるか、この点に注目したい。1.3000および1.2950にはそれぞれビッドが観測されている。一方、ユーロドルは1.11台の維持が焦点となろう。1.10台へ下落しても、上述した低ボラティリティの状況を考えるならば、21日MA(1.1073前後)でサポートされる展開を予想する。今月6日にこのMAがサポートラインとして意識され、1.12トライの起点となった経緯がある。1.1100にはビッドが観測されている。また、1.1090から1.1070にかけては断続的にビッドの観測あり。
【ポンドドル】
【ユーロドル】
・堅調な新興国通貨
欧州通貨とは対照的に、トルコリラ以外の主要な新興国通貨は堅調地合いを維持している。この底堅さの背景にあるのが、米中対立リスクの緩和と米長期金利(以下米金利)の上昇幅が抑制されている状態が同時に発生しているからである。前者については、新たな展開があるとすれば来年以降となろう。よって、目先はリスクイベントとして各市場で意識される可能性は低い。一方、後者の米金利だが、こちらも年内は現在のレンジ(=1.7~1.8%台)を中心に右往左往する展開が続こう。上述した2つの要因で新たな展開が見られない限り、新興国通貨は現在の地合いを維持しよう。対米ドルで下落する要因として注視すべきは、年末を意識した米ドル買い需要の高まりくらいである。
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