ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)、ディズニー+の拡大により知的財産と接点を持つ消費者を増やし、各事業の成長を促進する相乗効果を期待
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- 2020/9期1Qは、売上高が前年同期比36.3%増、営業利益が同9.5%増、継続企業からの純利益が同23.5%減。
- 2019/11開始の動画配信ディズニー+の会員数増加が2019/12末で2,650万人に到達。映画の人気作品の興行収入も堅調に推移した。
- ディズニー+の拡大はキャラクターや作品などの知的財産と接点を持つ消費者を増やし、各事業の成長を促す相乗効果が期待される。
What is the news?
2020/9期1Q(10-12月)は売上高が前年同期比36.3%増の208.58億USD、営業利益が同9.5%増の40.02億USD、継続事業からの純利益が同23.5%減の21.33億USD。メディア・ネットワーク事業およびテーマパーク事業が好調だったことのほか、映画や音楽のスタジオ・エンターテイメント事業における「アナと雪の女王2」や「スター・ウォーズ」の興行収入が伸びたことが増収および営業増益に寄与した。2019/11に北米とオランダで開始した動画配信ディズニー+(プラス)を手掛ける消費者向けダイレクト配信&海外事業は、先行投資が嵩み営業損失が拡大したものの、ディズニー+会員数が2019/12末時点で2,650万人とネットフリックス(NFLX)の北米会員(6,766万人)の約4割を2か月足らずで達成。ESPN+の会員数増とともに増収に貢献した。
セグメント別の業績は以下の通り。メディア・ネットワーク事業は売上高が同24.3%増の73.61億USD、営業利益が同22.6%増の16.30億USD。テーマパーク事業は、売上高が同8.3%増の73.96億USD、営業利益が同8.6%増の23.38億USD。スタジオ・エンターテイメント事業は、売上高が同2.1倍の37.64億USD、営業利益が同3.1倍の9.48億USD。消費者向けダイレクト配信事業は、売上高が同4.3倍の39.87億USD、営業利益が前年同期の▲1.36億USDから▲6.93億USDへ赤字幅拡大。
How do we view this?
今後の懸念材料としては、短期的には新型肺炎の影響で上海と香港のディズニーランドが閉鎖されたこと、中期的にはネット配信の拡大に伴いテレビ事業における広告収入が落ち込むと予想されることが挙げられる。その一方、ディズニー+の普及が拡大することに伴い、キャラクターや作品といった同社が強みを有する知的財産(IP: Intellectual Property)を中心に消費者との結び付きを強化することにより、多くの消費者をテーマパークに呼び込むことやキャラクター・グッズなどの製品販売を増やすなど各事業を伸ばす相乗効果が期待されよう。2020/3より西欧とインドでディズニー+を開始する予定であり、海外展開に乗り出すことも同社のIP戦略を加速しよう。2020/9通期の市場予想は、売上高が前期比16.8%増の812.72億USD、純利益が同17.2%減の91.52億USDである。
配当予想(USD) 1.85 (予想はBloomberg)
終値(USD) 139.54 2020/2/14
会社概要
1923年設立の世界的なメディア総合エンターテイメント企業。メディア・ネットワーク事業、テーマパーク事業、スタジオ・エンターテインメント事業、消費者向けダイレクト配信&海外事業の主要4事業を展開する。
①メディア・ネットワーク事業は、傘下に米国の三大放送ネットワークの一つであるABCのほか、スポーツ専門放送局ESPN、ナショナルジオグラフィック誌の運営を行う。その他にも、ケーブルネットワーク、ラジオ、デジタルビジネスを含むメディア関連ビジネスを幅広く展開する。②テーマパーク事業は、カリフォルニア、パリ、香港、上海などのディズニーランドの運営を行うほか、東京ディズニーランド運営に関しては知的財産権(I P:intellectual Property)を第三者にライセンス供与するなど、家族旅行やレジャー体験を提供する。③スタジオ・エンターテイメント事業は、ウォルトディズニーピクチャーズ、20世紀フォックス、マーベル、ルーカスフィルム、ピクサーなどのブランドの下での映画の製作・配信、および音楽の製作・配信を行う。④消費者向けダイレクト配信&海外事業は、ディズニー、ESPN、フォックスなどを含む国際的テレビネットワークとチャンネルのほか、Disney+、ESPN+、Hotstar、Huluなどの消費者向けストリーミング動画配信サービスを運営する。
企業データ(2020/2/18)
ベータ値 0.87
時価総額(百万USD) 251,931
企業価値=EV(百万USD) 311,075
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 1,428.9
主要株主(2020/2) (%)
1.VANGUARD GROUP 7.43
2.ブラックロック 6.24
3.ステート・ストリート 4.12
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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