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日本円の存在感

前回のレポートに続き、ドル円の変動幅が縮小している理由について考えてみました。今回はよりマクロ的な視点-日本円の存在感にフォーカスしました。詳細はマーケットレポートにて。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

リスク回避局面でもドル円の下落幅は限定的 その要因とは?②

28日の主要な株価指数は急反発する展開となった。米国株式市場では半導体株や金融株がけん引役となり、主要3指数は終始堅調地合いを維持した。株高局面での外為市場では円売り圧力が高まり易いが、昨日もこのパターンとなった。だが、オセアニア通貨の反発が限定的だった事実は、未だ新型肺炎の感染リスク(=中国リスク)が意識されている証左と言えよう。オセアニア通貨と同じく、上昇幅が抑制されたのがドル円である。米国市場が「株高/金利反発」にもかかわらず、高値109.19で上値が抑制された。年初からリスク回避局面が続いても、ドル円の変動幅が拡大しない理由として、円金利のマイナス幅縮小が影響していることを28日のレポートで指摘した。

今回は日本円の存在感-という観点からドル円の変動幅が縮小傾向にある理由について考えてみる。
国際決済銀行(BIS)が3年に一度公表しているサーベイ(2019年9月16日公表)を確認すると、日本円の取引シェアは3年前の10.8%から8.4%へと低下している。一方、他のメジャー通貨-米ドルは43.8%→44.2%、ユーロは15.7%→16.2%と、わずかではあるが増加している。英ポンドは6.4%と横ばいだった。次に対米ドルでの取引高だが、ドル円のそれが17.8%→13.2%と減少する一方、ユーロドルは23.1%→24.0%、ポンドドルは9.3%→9.6%と増加している。つまり直近の3年間は、日本円の取引シェアが縮小し、且つ対米ドルでの日本円の取引高も減少したと、いうのが外為市場のトレンドだった。このようなマクロ的な変化がドル円の動向に影響を与えていることは確実である。事実、2017年にトランプ米政権が誕生して以降、ドル円の変動幅が縮小傾向にある。
尚、BISのサーベイでは新興国通貨全般のシェアと取引高が拡大傾向にあることも指摘している。つまり、日本円に代わり新興国通貨の存在感が増している、ということである。現在は不振に陥っている新興国経済だが、これからの世界経済の主軸となることは明白であり、この点に異論の余地はない。日本円の存在感が薄れている主因は、やはり日本経済の低迷にあろう。

ドル円は長期レジスタンスラインインの突破が焦点

相場環境の激変に直面するドル円だが、株式動向がトレンド決定要因となっている状況に変化は見られない。本日も株式-特に米株にらみの展開となろう。米株の各ボラティリティ指数(VIX / VXN)を確認すると、上昇基調にはあるが警戒水準を突破しているわけではない。昨日の良好な指標データと決算内容も考えるならば、大きく崩れる可能性は低い。目先は108.70レベルを下限と想定し、上値の水準を見極める状況が続こう。109.30、109.50、109.60および110.00にはそれぞれオファーが観測されている。だが、筆者が注視しているのは2015年6月高値125.85レベルを起点とした長期レジスタンスラインである。このラインは今日現在110.20レベルで推移している。この水準に厚いオファーが観測されていることも考えるならば、真に注目すべきはこのラインの攻防である。

ドル円チャート

USDJPY ドル円 チャート分析 レジスタンスライン

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