長期にわたり維持されるFEDの超緩和スタンス 米ドル安を土台に主要通貨ペアは重要なチャートポイントをトライする展開に
今回のサマリー。FEDは2022年まで超緩和政策を維持する予測を示した。外為市場では米ドル安が加速しやすい相場環境にある。ユーロドル、ポンドドル、豪ドル/米ドルそしてドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
長期にわたり維持されるFEDの緩和スタンスと加速する米ドル安
10日の外為市場は、対先進国通貨で米ドル安一色の展開となった。
今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を簡単に振り返ると...
①2022年まで政策金利をゼロ付近で維持する見通しであること
②しばらくは資産の買い入れ額を月1200億ドルとすること
③長期金利を一定の水準で維持するイールドカーブ・コントロールの導入を検討していること
以上のことが判明した。
パウエルFRB(FED)の超緩和スタンスがどの程度維持されるのか?今回は、この点が判明したことが収穫だった。
資産の買い入れ額については今後の経済情勢により変化するだろうが、「2022年末まで」という予測が示されたことで、少なくとも今年と来年の外為市場は、米ドル安圧力が高まりやすい相場環境が続く可能性が出てきた。
実際に、FOMCを受け米ドル安が加速している。
例えば、ユーロドルはレジスタンスポイントの1.1400を上方ブレイクし、高値1.1422を付ける局面が見られた。
一方、ポンドドルはレジスタンスとしてもサポートとしても意識されやすい1.2800を一時上方ブレイクし、高値1.2812まで上昇した。
欧州通貨を積極的に買う材料がない中、これらレジスタンスポイントを突破する土台となっているのが「米ドル安」である。
欧州通貨の動向
また、豪ドル/米ドルも0.70レベル付近で売り買いが交錯している。
昨日はナスダック指数以外の主要な株価指数が軒並み下落したにもかかわらず、豪ドル相場が堅調地合いを保っているということは、米ドル安がリスク回避の圧力を相殺していることを示唆している。
0.70台を維持する状況が続けば、さらなる上値トライを予想する。
豪ドル/米ドル
米ドル安の圧力が高まる中で株高を調整する動きとなれば
もちろん、米ドル安の影響はドル円にも波及している。
110円トライから一転し、現在は107円台の維持が焦点として浮上している。
世界的な米ドル安が上値を抑制していることは明らかである。
だが、株高トレンドが続く限りは「米ドル安vs円安」を背景に、107円前後がサポートポイントとして意識される状況が続くと予想する。
問題は、ベースシナリオである株高トレンドが崩れる時である。
今回のFOMCで、長期にわたり政策相場が続く可能性が高まった。
よって、米株をはじめとした主要な株式市場が、現在の上昇トレンドから下落トレンドへ転換する可能性は低いだろう。
だが、株高の調整相場はいつ来てもおかしくない状況にある。
実際に主要な株式市場が調整相場へ転じる場合、ドル円は107円を完全に下方ブレイクし、106円台の維持が焦点として浮上しよう。
106円台の攻防へシフトする場合、まずは、昨日相場をサポートしたフィボナッチ・プロジェクションの50.00%の水準106.98レベルの攻防が焦点となろう。
この水準以上に注目すべきは106.70台の攻防である。
この水準は、5月中旬に相場をサポートし続けた経緯がある。106.70にはビッドが観測されている。
106.70をも下方ブレイクする展開となれば、フィボナッチ・プロジェクションの61.80%の水準106.30を視野に、下落幅の拡大を警戒したい。
106.30のブレイクは、106.00トライのシグナルとなろう。
なお、106.00にもビッドが観測されている。
ドル円チャート
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