米中通商協議、米債券市場そしてドル円
米中対立が意識される局面では米ドル買い圧力が高まり易いことはこのレポートで指摘済みです。米債価格の高値警戒感も米ドル相場のサポート要因となるでしょう。米金利の水準で言うならば、目先は1.4%前後までの低下が限界と予想します。詳細は今日のマーケットレポートをご参照ください。
・米中通商協議、米債券市場そしてドル円
9月米雇用統計は総じて市場予想を下回った。米国をはじめとした各国の製造業指数は2018年以降ダウントレンドを形成中。景気の先行指標である製造業指数に後追いするかたちで遅行指標の雇用統計が冴えない内容となった事実は、米国経済の先行き不透明感が高まっていることを示唆している。しかし、外為市場では米ドル買い優勢の展開が続いている。この要因は主に2つある。ひとつは今週10日から予定されている米中通商協議(閣僚級協議)に対する不透明感である。米中対立は米ドル買い要因とこのレポートで指摘し続けてきたが、現在の米ドル相場を考えるならばこのトレンドは未だ健在である。
もうひとつの要因は、米債券市場の動向である。米ドル相場のトレンドを左右する10年債先物価格の動向を確認すると、現在は上昇トレンドを形成している。だが、130ドル台へ上昇すると米債売り圧力が高まるという状況が2012年以降のトレンドパターンとなっている(上限は135ドル)。現在の米債価格は131ドルレベル。上記のトレンドパターンを重視するならば、現在の価格は市場参加者に高値警戒感を想起させる水準にある。米債価格の水準を長期金利(以下米金利)の水準に置き換えてみると、目先は1.4%前後までの低下が限界と考えることができる。では、このような米債券市場の動向がドル円のトレンドンにどのような影響を与えるのか?この点は、10月3日のレポート「ドル円のトレンドパターン」で指摘済みだが、今一度端的に言うならば、米金利のレンジが0.5%低下すると、ドル円は約2円レンジ下落するというのが2019年のトレンドパターンである。現在の米金利は1.5-2.0%レンジで推移している。この動向は、目先のドル円が106-108円レンジで推移することを示唆している。上述した1.4%台の水準へ低下する場合は105円台の攻防を想定すべきだが、その材料として注視すべきは①米中通商協議の決裂、②パウエルFRBの政策スタンス、③冴えない指標データである。
【米国債券市場】
・ドル円とユーロドルのチャートポイント
今週のドル円は106-108円をコアレンジと想定する。トレンドは引き続き米金利の動向次第となろう。米債価格に対する高値警戒感が高まり易い状況を考えるならば、108円再トライの可能性を意識したい。108円台へ上昇する場合、最大の焦点は重要レジスタンスポイント108.50となろう。107.50から108.00にかけては断続的にオファーが観測されている。108.40-50ゾーンにもオファーの観測あり。一方、下値の焦点はフィボナッチ・リトレースメント50.00%の水準106.45となろう。今月3日以降、このテクニカルポイントの上で下ヒゲ示現による反発が続いている。この動向は106.45レベルでの買い意欲が強いこと示唆する一方、強いが故に下方ブレイクする場合は、106.00をターゲットに下落幅の拡大を予想する。106.40および106.00にはそれぞれビッドが観測されている。
ユーロドルも引き続き米金利にらみの展開となろう。上述した米金利の低下要因が意識される場合は上昇を予想する。このケースでの焦点は21日MA(1.0991前後)の突破となろう。今月3日以降、このMAはレジスタンスラインとして意識されている。21日MAの突破に成功する場合は、1.1および1.1412(6/25高値)を起点とした短期レジスタンスライン(今日現在1.1020前後)を次の上値ターゲットと想定したい。一方、下値の焦点はビッドが観測されている1.0950-1.0930ゾーンの維持となろう。このゾーンを下方ブレイクする場合、1.09再トライを意識したい。
【ドル円:リトレースメント】
【ユーロドル】
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