感染状況にらみの展開
現状、欧州では新型コロナウイルス感染の拡大に歯止めがかかっています。しかし、イタリアでは再び感染が拡大しつつあり油断はできません。米国でも感染拡大の頭打ち感は出ていますが、未だ予断を許さない状況が続いています。今週も感染状況が投資家心理に影響を与えるでしょう。米ドル相場と円相場への影響は?本日のレポートをご参照ください。
投資家心理の改善とドル円の展望
米国株式のボラティリティは低下基調にある。この点を多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500で確認すると、ボラティリティ(20日間の標準偏差を年率換算した値)は低下基調へ転じている。未だ86%と高い水準にあるが、現在は低下基調-つまりリスク選好へ回帰する途中での高止まりである。この状況は投資家心理の改善傾向を示している。今週もこの状況が続く場合、米株は先週の反発地合いを維持しよう。外為市場では投資家心理の改善とFEDによる資金供給を背景とした米ドル安が加速する展開を予想する。また、米株の堅調地合いは円安圧力を高める要因ともなろう。よってドル円は、米ドル安と円安の圧力がぶつかり合うことで、レンジ相場のムードがさらに強まる展開を予想する。目先のレンジを105.50-111.60とし、さらに狭く見積もったコアレンジを107.00-109.50と想定する。米株の堅調地合いが続く場合、過去のパターンで考えるならば、円安圧力が米ドル安圧力を上回るだろう。まずは109.50を突破できるかどうか?この点に注目したい。109.50を完全に突破する場合、次の焦点は110円台への上昇が焦点となろう。
S&P500の動向
投資家心理の悪化要因
改善傾向にある投資家心理が再び悪化する要因として、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられる。欧州の状況-特に感染の拡大が最もひどいスペインとイタリアの状況を確認すると、スペインの感染者数はピークアウトした感がある。これはドイツも同じである。一方、イタリアだが、一時低下した後に再び増加傾向にある。ピークアウトが見られる欧州各国で、イタリアと同じく感染が再び拡大しているデータが示される場合、投資家心理が悪化しよう。
スペインの感染状況
イタリアの感染状況
次に米国の状況だが、現状は感染の拡大に歯止めがかかっている局面にある。スペインやドイツと同じく、感染の拡大がピークアウトしたというデータが示される場合、米株は反発地合いを維持しよう。外為市場ではリスク選好を背景に米ドル安および円安の展開を予想する。逆に感染の拡大が確認される場合は投資家心理が悪化し、米株は再び下落しよう。このケースでの外為市場では、米ドル高対円高の戦いを予想する。3月と違い現在はFEDが大規模な資金供給を実施するフェーズにある。この点を考えるならば、円高圧力が米ドル高圧力を上回る展開を予想する。ドル円は107円台の維持が焦点として浮上しよう。
米国の感染状況
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