4日午前の東京外為市場でドルは対円で昨年末に比べて大幅に下げ、107円台後半で推移している。アップルによる業績見通しの引き下げで中国景気の減速懸念が強まり、比較的安全とされる円が買われる展開が続いている。
ニューヨークの2日夕方にアップルが2018年10~12月期の売上高見通しを下方修正したことを受け、3日のアジア時間にドルは昨年3月以来のドル安・円高となる104.87円まで急落した。
その後、相場は落ち着きを取り戻し、ニューヨークの3日午前にドルは108円台前半まで回復。しかし、12月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の大幅低下や米株安で再び売られ、午後に107円台前半をつけた。
日本時間午前9時55分現在は107.65円で推移している。
アップル、中国で不振
アップルは2日、18年10~12月期の売上高が当初予想よりも5~10%少ない840億ドルになる見通しだと発表した。中国でのスマートフォン「iPhone」の販売低迷を理由に挙げた。今回の見通しの修正で、売上高は16年7~9月期以来、9四半期ぶりに前年同期を下回ることになる。
昨年11月の決算発表の際、アップルは10~12月期の売上高を890億~930億ドルになると予想していた。
ティム・クック最高経営責任者(CEO)は投資家向けの手紙で、売上高見通しの下方修正の大半は中華圏で起きたし、四半期が進むにつれて停滞が目立つようになったと説明した。
カナダ当局が米国の要請により中国のファーウェイ(華為技術)の最高財務責任者(CFO)を逮捕して以降、中国でアップル製品の不買運動が起きていることも下方修正に影響しているもよう。
さらに、昨年発売したiPhone新機種「XR」の販売が伸びていないことも一因。
クック氏は、ドル高による海外市場での販売価格上昇や電池交換費の値下げにより、従来機種を持ち続ける消費者が増えたとの見方を示した。
11月以降、部品メーカーによる業績予想の引き下げの発表や、「XR」向け部品の生産縮小の報道が続いていた。
ISM製造業景況指数
12月のISM製造業景況感指数は前月比5.2ポイント低下し、54.1となった。エコノミスト予想中央値は57.5だった。
16年11月以来の低水準で、低下幅は08年10月以来、約10年ぶりの大幅な水準だった。
これを受けて米利上げ観測が後退し、長期金利が大きく低下したこともドル売りの要因となった。