ドル円の戻り高値と米金利
株式市場の安定化はドル円のサポート要因です。しかし、どこまで反発するかは米金利の動向次第でしょう。利下げ観測による金利の低下圧力を相殺する唯一の材料は、良好な米指標データの結果です。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・ドル円の戻り高値と米金利
現状、米中対立の焦点は、今月28-29日のG20会議で首脳会談が開催されるかどうか、この点にある。トランプ米大統領は10日、CNBCの電話インタビューで「早期に合意に達することができない場合は3000億ドル分の中国製品に対して追加関税を発動する」と発言。一方、G20会議での首脳会談開催について現在のところ中国サイドの具体的な反応はない。米国のみならず、国内での政治的駆け引きも関係していると思われる。G20会議まで様々なキーマン達の言動や報道が流れるだろうが、米株の各ボラティリティ指数(VIX / VXN)の状況をみると、両指数とも警戒水準の20ポイント以下で推移し続けている。また、世界の主要な株価指数も堅調地合いを取り戻している。米利下げ期待と対メキシコ関税の回避が、米中対立リスクの相殺要因となっていることがわかる。よってG20 会議まで米株をはじめとしたグローバル株式は、売り買い交錯の状況が続くと予想する。
ひとまず株安リスクが後退した状況を考えると、ドル円は107.80を下限に戻り高値の水準を探る展開となろう。その水準は米長期金利(以下米金利)の動向次第となろう。昨日は株高に反応し反発したが、水準自体は未だ2.15%前後と低空飛行状態にある。この状態から脱する唯一の材料は、良好な指標データである。今日と明日は生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)が発表される。最近、FEDスピーカーから低下傾向にあるインフレについて懸念するコメントが相次いでいる(コアPCEは3月に1.5%まで低下)。インフレとの相関性が高い平均時給(前年同期比)も3.1%と市場予想を下回り低下傾向にある(5月雇用統計)。この状況でPPIやCPIが総じて市場予想を下回る場合、米利下げ期待がドル円の上値を抑制しよう。このケースでは108円台を中心としたレンジ相場を予想する。一方、総じて市場予想を上回る場合は、「株高 /米金利反発」を背景に109円台の攻防シフトを予想する。
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は108円台を中心とした攻防を予想する。株安圧力が後退している現状を考えるならば、108.00レベルでは押し目買いにサポートされよう。108.00および重要サポートポイント107.80にはそれぞれビッドが観測されている。一方、上値の焦点は上限を21日MA(109.20前後)と想定し、まずはリトレースメント23.60%の水準108.88の突破に注目。108.80にはオファーの観測あり。
ユーロドルは引き続き米金利にらみの展開が続こう。株高の維持と良好な米PPIのケースでは、米金利の上昇による下値トライを予想する。焦点は昨日相場をサポートした1.1285レベルの維持となろう。すぐ下の1.1270にはビッドが観測されている。尚、1.1270台には短期サポートラインが推移している。一方、米金利に低下圧力が高まる場合は反発を想定する。上値の焦点は7日高値1.1347の突破である。1.1350にはオファーが観測されている。
【ドル円】
【ユーロドル】
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