リスクセンチメントのバロメーター通貨
トランプ米大統領による対中貿易関連のコメントが相次いでいます。しかし、各市場の反応は限定的。外為市場では新興国通貨が対米ドルで堅調地合いとなっています。新興国通貨はリスクセンチメントのトレンドをはかるバロメーターでもあります。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・リスクセンチメントのバロメーター通貨
外為市場では6月に入ると、リスク性の高い新興国通貨が対米ドルで底堅さを維持している。現在の新興国通貨は、米ドル安のバロメーターになる。その理由は、米利下げ期待が急速に高まっていることで「米金利の低下→米ドル安」の恩恵を最も受けやすいのが新興国通貨だからだ。しかし、新興国通貨買い圧力が高まるためには米金利の低下に加え、株高が同時に発生することが条件となる。後者の株高にフォーカスするならば、新興国通貨はリスクセンチメントのバロメーターにもなる。そのリスクセンチメントの悪化要因として目先注視すべきは、米中対立リスクの再燃である。しかし、対中貿易に関するトランプ米大統領の発言よりもFEDによる利下げの可能性、対メキシコ関税の回避、そして中国の景気刺激策の方にマーケットが反応している現状を考えるならば、目下のところリスクセンチメントが再び悪化する可能性は低下している。しかし株式市場、特に米株が再び株高一辺倒のトレンドを形成する可能性は低いと考える。米中対立リスクとG20 の動向を見極める必要があること、ナスダック100(ハイテクセクター)のオプション価格を原資産としたボラティリティ指数VXNが再び警戒水準の20ポイントへ到達していること、さらにベンチマークであるS&P500指数の動向をテクニカルの面から考えると、上昇幅が抑制される可能性があるためだ。2018年以降、同指数は20日MAとのプラスかい離が3%前後まで拡大すると実勢相場が反落するパターンを繰り返している。現状、2%前後までかい離が拡大していること、また2900ポイント台でのトリプルトップ形成の可能性を考えるならば、やはりG20会議まで米株は売り買いが交錯する展開を想定する。新興国通貨は対米ドルで堅調地合いを維持すると予想する。リスクセンチメントの改善傾向に加え、来週のFOMCでFEDが7月以降の利下げについてシグナルを発信する可能性がある点も考えるならば、米金利の反発は限られると予想されるからだ。
【S&P500】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は、109円トライが焦点となろう。テクニカル面ではリトレースメント23.60%の水準108.88の突破に注目。108.90にはオファーが観測されている。108.90の突破は109.00トライのシグナルと捉えたい。109.00にもオファーの観測あり。また、オプションバリアの攻防も想定しておきたい。一方、下値の焦点は107.80の維持で変わらず。このレベルにはビッドが観測されている。株式が崩れない限り、このサポートポイントを下方ブレイクする展開は想定していない。
ユーロドルは1.13台を中心とした売り買い交錯を予想する。トレンドは米金利の動向次第である。本日の米CPIが総じて市場予想を下振れる場合は、「米金利の低下→米ドル安」を土台に上値トライを予想する。焦点は7日高値1.1347となろう。1.1350にはオファーが観測されている。突破に成功する場合、次のターゲットは200日MA(1.1363前後)となろう。一方、下値の焦点は1.13台の維持で変わらず。このレベルではオプションバリアの攻防が想定される。尚、昨日はこのレベルでサポートされた。
【ドル円】
【ユーロドル】
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