米指標データの効果と企業の見通し
1日の米国指標データはポジティブな結果となりました。しかし、米株の上昇幅は限定的。市場が抱く先行き警戒感の強さを示唆する展開となりました。今週も米株を中心に米ドル相場と円相場はトレンドが左右されるでしょう。詳細はマーケットレポートをご参照ください。
Analysis Highlights
・米指標データの効果と企業の見通し
今週の米ドル相場と円相場のトレンドは、引き続き株式市場に左右されよう。1日に発表された米国の重要指標データはいずれもファンダメンタルズの堅調さを示す内容となった。良好な指標データは米株をサポートし、株高は長期金利低下圧力の後退要因となった。そして外為市場では米ドルを買い戻す局面が見られた。想定通りの展開ではあったが、注視すべき点もあった。それは、良好な指標データに対して米株の上昇幅が限定的だったことである。主因はアマゾンの2019年第1四半期の売上高見通しだった。同社は欧州経済の減速とインドの規制の影響を理由に560億~600億ドルと予測。市場予測の608億ドル以下だったことで、世界経済の減速と企業業績の先行き不透明感が意識された。今回の決算ではハイテクおよび製造業の企業で業績見通しを保守的に見積もるケースが確認された。その決算発表も今週でピークアウトする。焦点は引き続き業績見通しにあるが、アマゾン同様、市場の見通しよりも厳しい内容が続く場合は良好な指標データの効果を打ち消し、米株の上値が抑制される展開を警戒したい。このケースでは長期金利の反発圧力も抑制されることから、米ドル相場は売り優勢の局面が散見されよう。一方、市場予想を上回る業績見通しが相次ぐ場合は良好な指標データの効果も合わさり、米株は反発基調を維持しよう。S&P500指数は重要レジスタンスポイント2,820レベルを視野に上昇幅が拡大しよう。このケースでは長期金利の低下圧力が後退することから、米ドル買い優勢の展開を想定している。
米企業決算以外で注視すべき材料は、トランプ米大統領の一般教書演説(日本時間6日午前)、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演(7日)、BOEイベント(7日)および欧州(ドイツ)の各指標データとなろう。
【チャート1:S&P500】
・ドル円とユーロドル 今週の焦点
今週のドル円は、108.00-110.00をコアレンジと想定。中国が春節(旧正月)で休場のため、アジア時間は日本株にらみの展開となろう。米金融政策のリスクが後退しVIX指数は警戒水準の20ポイント以下での推移が継続している。国内企業の決算で売りの局面が見られても、米株が崩れない限り日本株も崩れる可能性は低い。株安でもそれが調整の反落ならば108円台の維持を想定している。日米株式が大きく崩れるならば、米中通商協議に関する新たなネガティブ報道がある場合だろう。3月1日に交渉期限を迎える米中貿易協議を意識し、今月中に米中首脳会談が開催される見込みとなっている。開催前に米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が訪中し閣僚級での話し合いを続ける。今週以降、対中強硬派として知られる同氏の言動はより注視すべきだろう。上述の米企業決算により米株が反発基調を維持する場合、ドル円はレジスタンスポイントとして意識されている110.00のトライを意識したい。
ユーロドルのコアレンジは1.1300-1.1550を想定。米企業決算と欧州指標データの内容でトレンドが決定されよう。良好な米企業決算と市場予想を下回る欧州指標となる場合、1.13台へ下落する局面が見られよう。しかし、FEDが急速にハト派スタンスへ舵を切った現状を考えるならば、企業決算のみで1.1300を下方ブレイクする程米ドル買い圧力が高まる可能性は低い。1.13台では押し目買いにサポートされよう。一方、米企業の厳しい業績見通しおよび良好な欧州指標データのケースでは上値トライを想定したい。だが、中国の景気減速を受け欧州経済(特にドイツ経済)に対する先行き不透明感が意識されているタイミングでは、1.15ミドルレベルで一度上値が抑制される展開を想定している。
【チャート2:ドル円】
【チャート3:ユーロドル】
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